朝日新聞が黙殺し、韓国紙が評価した百田尚樹の問題作

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大新聞は扱わない

 3月12日、西宮市で行われた百田尚樹氏の新刊『カエルの楽園』の発売記念サイン会に対して、「サイン会を爆破する」という脅迫電話がかかってきた。結局、不審物は発見されなかったので、悪質ないたずらだったようだが、明らかな言論弾圧行為だ。ところがこの事件を大きく扱う新聞は少なく、報道された場合でも書名には一切触れられていない。

 そのような弾圧行為にもかかわらず『カエルの楽園』は発売直後から各書店で1位を獲得し、14万部突破のベストセラーになっている。現在の日本を取り巻く安全保障環境を戯画化したような内容は、ネットを中心に大きな話題を呼び、「子どもに読ませたい」「もう息子に読ませました」といった感想もSNS等で広がっている。

 ベストセラー作家の新作で、社会性を帯びたこうした作品がこれだけ読まれているということは、それなりの話題性のあるトピックだと思われるが、新聞の反応は押しなべて鈍い。これまでのところ、佐賀新聞がコラムで、毎日新聞が夕刊書評で取り上げただけという状況である。当然のことながら、百田氏の「天敵」とも言える朝日新聞は完全に無視している。まるで同書に注目が集まっては困るかのような反応だ。

 そのような状況下で、意外な新聞が正面から『カエルの楽園』を記事にしている。

「朝鮮日報」だ(「日本は『カエルの楽園』?」 4月5日 東京発・金秀恵特派員)。

 どちらかといえば、韓国に対して厳しい論調で知られる百田氏は、決して韓国メディアでの受けが良い人物ではないだろう。

 ところが、この記事では、客観的かつコンパクトにストーリーを紹介したうえで、

「百田はおそらく、中国が超大国として台頭し、北朝鮮が核ミサイルを撃つ中、日本だけが米国を信じ、『平和憲法』を守ってぼんやりしていてはいけない、という話をしたいのだろう」

 と述べ、

「百田の言行やイデオロギーに嫌悪感を抱く知識人は、日本にも少なくない。しかし、売れている。本を書くたびにベストセラーだ」

 と結んでいる。

韓国は現実的

 同書に対して、感情的な否定コメントを連ねている日本国内のネットメディアなどと比べると、意外なほど、実に冷静で穏当な内容の記事になっているのだ。

 もっとも、これは韓国の置かれた状況を考えれば当然のことだろう。

 北朝鮮は国際社会のルールを破り続け、もはや中国の言うことですら聞かなくなってきている。米韓の軍事演習に対しても過剰な反応を示して、挑発的な言動を繰り返すばかりだ。そのため、韓国内では一時期は中国に配慮して見送っていたミサイル防衛の本格的配備も現実味を帯びてきている。

 そもそも徴兵制をとる韓国人の中に、『カエルの楽園』に登場するナパージュのカエルのように「戦う力を持たずに平和を唱えていれば平和が訪れる」などといった甘いことを信じている人はいないだろう。

 少なくとも、その点では韓国のほうが日本よりも現実的だと言えるかもしれない。やはり世界で一番『カエルの楽園』に近いのは日本ということなのだろう。

デイリー新潮編集部

2016年4月11日掲載

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