成人向け雑誌に全面ビニール 堺市の理不尽な“隠し潰し”

社会週刊新潮 2016年4月14日号掲載

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 大阪・堺といえばいわずもがな、中世、日明貿易で世界に名を馳せた商人の街である。そんな由緒ある街のコンビニで今、理不尽な商品陳列が行われ、物議を醸しているという。

「市からの協力要請を受け、3月16日からファミリーマートの堺市内11店舗では、成人向け雑誌に縦12センチの深緑色をしたビニールカバーが巻かれ、表紙の大半部分が見えない状態で陳列棚に並べられています」(在阪記者)

“塗り潰し”ならぬ“隠し潰し”。表紙が見えないのに、どうやって雑誌を選べというんだ――。買い手は当然怒る。一体何故、商売の邪魔としか思えないビニール巻きを行政が呼びかけているのか。

「堺市では平成26年から、公的空間における女性や女児に対する性暴力やセクハラを防止するプログラムに取り組んでいます。そうした観点で有識者らが検証した結果、コンビニの店頭に並んでいる成人図書の表紙の過激な写真や文字が、女性や子供の目に触れるのは問題だと指摘されたのです」(堺市役所担当者)

 そこで、市とファミリーマートの間で「有害図書類を青少年に見せない環境づくりに関する協定」が取り交わされ、“隠し潰し”が始まったという次第。今後は市内全84店舗まで拡大していく予定だという。

 こうした堺市の動きに真っ先に疑問の声を上げたのが、一般社団法人・日本雑誌協会だ。

「各版元は、小口にシールを貼るなど、青少年が閲覧できないよう工夫している。にもかかわらず雑誌の顔である表紙を隠すのは横暴で、憲法が規定する表現の自由に抵触しかねない」(雑誌協会担当者)

 一方の市は「条例ではなく協定であり、拘束力はないので問題はない」と、両者物別れ。協会は今月4日、協定の解除を求める声明文を発表した。

 弊誌のような表紙もあれば、かの成人誌のような表紙もある。それが雑誌である。「見せたくないから隠せ」は、言語道断――。