小保方晴子『あの日』で印税3500万円超? 濡れ手に粟の大儲けは許されるのか

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ゴーストライターでも使ったの?

 ノンフィクションライターの小畑峰太郎氏も、そんな疑問を抱く一人だ。

 小畑氏はSTAP細胞をめぐる騒動の当時、いち早く『STAP細胞に群がった悪いヤツら』(新潮社刊)を発表。独自の視点でこの日本アカデミズム史上最大のスキャンダルの真相に迫って、注目を集めた。そんな彼の舌鋒は『あの日』に対しても容赦ない。

「『あの日』(講談社)のページを開くとのっけから、おセンチで紋切型な文章の波状攻撃にさらされます。なにやら虚と実の間をこづき回されたような感じで、後味のはなはだ宜しくない一冊ですね」

 そんな手厳しいコメントを浴びせる小畑氏は、小保方氏の文体もお気に召さないようだ。

「まさか、いくらなんでもこの期に及んでゴーストライターの手を借りたとは考えにくいですけど、それにしてもこの業界にわんさか生息しているゴーストライター・タッチの、内容空疎な美文調、その俗臭が鼻を衝く」

 研究機関で起こった騒動なのだから、釈明も論理的に行なうべきなのに、全体がストーリー仕立てで、しかも極めて情緒的であることにも違和感を覚えたという。

「小説風でありますが、読んでいくうちに、ノンフィクション・ノヴェルとかSFみたいなきちんとした設定や構成がないことに気がつきます。その手の作品に必要な『事実』や『科学的裏付け』『飛翔する想像力』はSTAP論文以上に希薄なんです。強いて言うなら『私小説』ですね。ただ、それにしては文章がダメすぎる。いったい小保方さんは何が言いたくてこんなシロモノを世に問う気になったのでしょうか?」

 まさに「ダメだし」だ。さらに、作品全体を貫く独特の雰囲気を次のように分析する。

「この本では自分勝手な言い分をあいまいなディテールだけで何度も何度も重ねていくという独特な、というか特異な話法が際立っていますね。それが妙な説得力を生み出している」

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