矢吹丈と紀ちゃんは相思相愛だったのか? 心優しき巨匠「ちばてつやさん」が語っていた「あしたのジョー」秘話 「人間はね、いくら好きになっても、ちょっとした言葉のやり取りで……」
力石と一緒に減量
林食料品店にはモデルがあることもちばさんは語ってくれた。満州から引き揚げ後、ちばさんの両親が開いた乾物屋で、林食料品店の主人は、ちばさんの父親をそのまま描いたそうだ。
〈母親の方は、少し優しい人に描きましたけどね(笑)〉(同)
ジョーだけでなく連載中、描いているキャラクターが夢の中に出てくる話もしてくれた。構成やコマ割りで悩んでいると、「ここで(キャラクターが)こういう言い方するかな?」と考え込んでしまう。すると、
〈そのキャラが夢に出てくるんですよ。漫画を描いている人はみんなそうじゃないですか。それくらい、キャラクターの気持ちに入り込まないと。例えばジョーの連載中、ライバルの力石徹が減量で苦しむ展開の時、どんな気持ちでいるのかな、水を飲みたくないのかなと考えているうちに、自分が食べられなくなってしまいましてね(笑)。家族やアシスタントが何とかして食べさせようとしてもダメで。結局、その展開が終わるまで、私も力石と一緒に減量していました。あんな経験はジョーだけですね〉(同)
よりよい一コマ、一ページに仕上げるために、ガマンにガマンを重ね続けたちばさん。壮絶な引き揚げ体験から、戦争のない世の中になることを切望していた。「金儲けできる人がいるから、戦争はなくならないんだよねぇ……」と語っていたのが印象的だった。




