矢吹丈と紀ちゃんは相思相愛だったのか? 心優しき巨匠「ちばてつやさん」が語っていた「あしたのジョー」秘話 「人間はね、いくら好きになっても、ちょっとした言葉のやり取りで……」

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 漫画家のちばてつやさんが10月22日、87歳で亡くなった。漫画史に残る多くのヒット作を手掛けた大家でありながら、誰に対しても優しい人柄で知られたちばさん。さまざまな追悼記事でちばさんの偉業を再確認できるが、ちばさんは生前、「デイリー新潮」のインタビューにも応じ(2025年6月1日配信)、創作秘話を明かしてくれていた。取り上げた作品は、不朽の名作「あしたのジョー」である。

相思相愛だった紀子

 ちばさんは、教授と学長をつとめた文星芸術大学で学生たちに「マンガはガマン」と語っている。晩年まで連載を抱えていたちばさんだが、一コマや、一ページごとに「いまだに迷ったり悩んだり、壁にぶち当たったりの毎日です。マンガはガマン。自分は苦しいけれど、ガマンしていいものができた時は人を感動させ、癒やしたり喜ばせたりすることができる」。

 そんなちばさんの創作の原点を垣間見ることができたのが2018年、東京ソラマチで開催された「連載開始50周年記念 あしたのジョー展」だった。

「令和の時代はPCなど、デジタル作画が主流になっているそうですが、昭和の時代、漫画原稿はすべて手書き。その一枚一枚に、漫画家さんの想いが込められています。ちば先生の原画を見た時は懐かしさと共に感動しました。試合のシーンでパンチの速さを表現するため、またジョーや対戦相手の鍛え上げられた筋肉を表現するための線の描き込みが本当に凄くて……。作品同様、迫力に満ちていますが、毎週、ここまで描き込む作業を繰り返していたわけですから」(50代の元少年漫画誌編集者)

 原画には、ちばさんのコメントも付せられていたが、前出の元編集者は予想外のコメントを発見したのだという。

「東光特等少年院を出たジョーは、先に出院した西とプロボクサーを目指し、丹下段平が泪橋の下に開いた丹下拳闘クラブで生活します。生計をたてるために、近くの林食料品店で働くのですが、一人娘の紀子というキャラクターがいました。この紀子とジョーは、相思相愛だったとちば先生がコメントしていたんです。原作の高森朝雄(梶原一騎の別名)さんも同じ意見を持っていたそうで、思わず『えっ!?』と声を出してしまいました」

 というのも、ファンであれば「あしたのジョー」のヒロインといえば、真っ先に白木葉子が思い浮かぶ。白木財閥の令嬢で、少年院を慰問で訪れた際にジョーと出会う。後に宿命のライバル・力石徹が所属した白木ジムの会長となり、何かとジョーの前に立ちはだかるようになる。物語の最終盤、世界タイトルマッチに挑むジョーを前に、強打試合を繰り返してきた身を案じ、「リングに上がらないで」と懇願、そして「好きなのよ、矢吹くん。あなたが」と、衝撃の告白をする。試合後、ジョーは血と汗にまみれたグローブを葉子に渡す……。ジョーにとって特別な存在は葉子なのでは――そう思っていたファンも多いはずだ。

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