実はホッケやクロマグロよりも獲れている「意外すぎる魚」とは? 日本人が食卓や居酒屋で知らずに食べている“海の暴れん坊”の正体

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定番のつまみ

「おでんでお馴染みの種や、居酒屋で定番のつまみ、スナック菓子のほか、変わり種ではレコードプレイヤーの把手にも使われている魚と言えばなにか?」

 なかなか難しいクイズを考えたなと思ったものの、某デジタルニュースサイトの編集長は、間髪入れず当ててしまった。筆者は少々憮然としたのだが、決して簡単なクイズではなかったはずだ。

 はんぺんやおでんの「スジ」(関東中心)、居酒屋によくある「梅水晶」などと尋ねていたら、難しいクイズではなかったかもしれない。さらに高級中華食材などと前置きすれば、即座に「フカヒレ」が浮かんで、「スーパーチャンス」となってしまっただろう。そう、答えは「サメ」である。

 では今回、なぜサメの話をするのか――。あまり知られていないが、日本でサメは古くから漁業対象種となっていて、漁獲量も決して少なくない。しかも意外なほど、食用に利用されている現状を紹介したかったからである。【川本大吾/時事通信社水産部長】

 まずサメと言えば、獰猛な“海の暴れん坊”といったイメージを持つ人が多いだろう。スティーブン・スピルバーグ監督の人気映画「ジョーズ」の印象が強いせいか、筆者にとっては、まさに「人食いザメ」として、恐怖心を煽る存在となっている。

 ところが、日本におけるサメの人的被害は、クマ騒動に比べてかなり少なく、ニュースでもほとんど見かけない。実際、海の生物のなかでも比較的おとなしい生き物らしく、むしろ他の生物の餌食になることもあるという。

「捨てるところがない」

 日本のサメ利用の歴史は古く、それこそ縄文時代からサメを捕獲していた形跡が残っているそうだ。日本人は身を食べるだけでなく、骨も貴重な装飾品として重宝し、「サメは捨てるところがない」と言われるほど、有効に活用してきた。

 最新のデータをみると、日本のサメ類の生産量(2025年)は、およそ1万8500トンとなっている。この数字だけでは多いのか少ないのか分かりにくいが、他魚種と比較すると、例えばクロマグロ(約1万4900トン)、マダイ(約1万5600トン)、サケ類(約1万6600トン)、ホッケ(約1万7600トン)よりも多い。

 名だたる人気魚種を上回るだけに、「そんなにサメを獲っているのか」と感じるだろう。なかには、「フカヒレのためにサメを漁獲しているのでは」との声もあるかもしれない。確かにサメから取れるフカヒレは貴重な食材として加工され、高級中華料理として提供されてきた。サメの水揚げ量で日本一を誇り、フカヒレ生産が盛んな宮城県の気仙沼では、江戸時代の終わりごろからフカヒレを製造販売していたという。だが、ヒレだけでなく、身を含む様々な部位を有効利用しようと試行錯誤を重ね、前述の通り「捨てるところがない」ほど、サメの各部位が利用されてきた。

 冒頭のクイズで種明かしをしたが、詳しく説明すると、サメの身はすり身に加工されて、はんぺんの原料となる。チクワやさつま揚げは主にスケトウダラを原料に作られているが、フワッとした軽い食感と旨味を出すには、サメが最適だという。

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