実はホッケやクロマグロよりも獲れている「意外すぎる魚」とは? 日本人が食卓や居酒屋で知らずに食べている“海の暴れん坊”の正体

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スナック菓子にも

 それこそ「ヨシキリザメとアオザメがなければ、はんぺんは作らない」という老舗練り物業者もいるほどだ。さらに、練り製品大手の紀文食品でも、はんぺんの原材料として「主にヨシキリザメ、一部アオザメも使用している」(同社広報)といい、「サメのすり身の筋原線維は細く、空気を抱き込みやすい性質がある。当社のはんぺんは、軽い食感を品質の特長としており、その軽さと柔らかさを実現するのに適している」(同)と説明する。

 練り物以外では、モウカザメの身を使い、スナック菓子にしたのが「ベビースターラーメン」で有名な「おやつカンパニー」(津市)だ。今年7月に唐揚げ味の「サメのスナック」を発売し話題となった。

 サメの身のほか、軟骨を細切りにして梅肉などと和えた珍味が梅水晶で、さっぱりとした酒のつまみで人気がある。筆者も時折、行きつけの酒場で注文し、コリっとした食感と梅の酸味をホッピー(白)で流し込むことがある。

 筆者は知らなかったのだが、珍味中の珍味と言えるのが「もうかの星」と呼ばれるモウカザメの心臓だ。気仙沼など産地でしか味わえない超珍味で、新鮮なうちに薄くスライスし、塩・ごま油などで食べると、豚などの「レバ刺し」に似たコリコリした食感で、濃厚な旨味が味わえるのだとか。

 サメの利用はヒレや身、軟骨だけではない。サメの皮は水に強いため、高価な財布やバッグの素材として活用されているほか、ワサビをおろす時に使う「サメ皮おろし板」にも使われている。

「風当りを感じることも」

 さらに今年、電通とオーディオテクニカが手を組み、サメの皮を使ったアナログレコードプレーヤーを製造販売した。1982年に発売されたポータブルレコードプレーヤー「サウンドバーガー」を再現し、把手の部分に気仙沼で揚がったヨシキリザメの皮を加工した「サメ革」を採用して「シャークバーガー」とネーミング。レコード人気の復活もあって今夏、製造数(非公表)を完売した。

 サメ皮の利用についてオーディオテクニカは、「単に音を届けるというより、サメ漁業の存在や資源の利用に関し、世の中に知られていない現状を知ってもらうきっかけになればといったコンセプトで、シャークバーガーを製造・販売することになった」と説明している。

 古くから行われていたサメ漁だが、これまで捕鯨同様に非難の的にされることもあったようだ。気仙沼市の漁業関係者によると、海外の環境保護組織から「“日本でサメはヒレだけを取って捨てている”といった誤った主張で、サメ漁へのバッシングを受けたこともあった」と打ち明ける。

 さらに近年はYouTubeの子供向け動画「ベイビーシャーク・ダンス」が人気となっていることや、サメが可愛く描かれたアニメキャラクターやぬいぐるみなどの影響で、「サメ漁に対する風当たりを感じることは少なくない」(漁業関係者)と話す。

 日本ではクロマグロやマダイ、サケより多く獲っているものの、「捨てるところがない」くらい大切に利用しているサメ。ジョーズの印象が大半を占めていた筆者は、今回のサメ取材で、多くを学んだ。今後もサメを有効利用し、資源の持続的利用を図っていくことが、日本漁業に求められるであろう。

川本大吾(かわもと・だいご)
時事通信社水産部長。1967年、東京生まれ。専修大学を卒業後、91年に時事通信社に入社。長年にわたって、水産部で旧築地市場、豊洲市場の取引を取材し続けている。著書に『ルポ ザ・築地』(時事通信社)。『美味しいサンマはなぜ消えたのか?』(文藝春秋)。最新刊に『国産の魚はどこへ消えたか?』(講談社+α新書)がある。

デイリー新潮編集部

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