「人気企業ベスト10に入り、倍率100倍だったが…」 なぜ新聞社に優秀な人材が集まらなくなった? 「ポエム記事も増加」
【前後編の後編/前編からの続き】
毎年10月15日から1週間にわたって開催される「新聞週間」。部数減に歯止めがかからぬ斯界にあって、本来であれば記事内容で存在感をアピールしたいところだ。が、今年の新聞協会賞で全国紙の受賞はなし。劣化が著しい全国紙に何が起こっているのか……。
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【写真】“迷文”を連発する「高橋純子」朝日新聞編集委員 ほか
前編では、全国紙の取材力が低下した背景や、「誤報問題」などについて報じた。
取材力が低下していくとともに、紙面に氾濫するようになったのが「ポエム記事」だ。ポエム記事には2通りある。ストレートニュースの中に大仰で空疎な文言をちりばめるタイプが一つ。以下にサンプルをご紹介しよう。
〈この夜、2人で世界の頂点をつかんだ。逆境には屈しない。道は自分で切り開く。めざしたプログラムが完成した〉(2月17日付朝日新聞夕刊)
これはミラノ・コルティナ五輪で金メダルを獲得したフィギュアスケート「りくりゅう」ペアについての記事である。
存在そのものがポエム化した記事
続いて3月に開催されたフィギュア世界選手権から。
〈思いやりの心は世界共通。助けられた選手たちにとって世界選手権は、悔しさを力に変え、再び前を向いた姿を示す舞台となる〉(3月25日付朝日新聞)
6、7月のサッカーW杯に関連する記事もポエムに事欠かない。
〈「優勝も夢じゃない」「世界を驚かせてほしい」。現地や国内でサポーターらが総立ちで歓喜し、サムライブルーが高みへ上り詰めることを願った〉(6月22日付産経新聞)
〈後半追加タイムに勝ち越しを許し、優勝という「最高の景色」を目指す旅路は、決勝トーナメント1回戦で終わった。(中略)何度失意を味わっても、歩みを止めるわけにはいかない〉(6月30日付読売新聞夕刊)
最後は8月の甲子園を沸かせた横浜高校の投手についての一節。
〈その言動からは、伝説となる記録と人々の記憶をまだまだ塗り替えていきそうな予感が漂う〉(8月15日付毎日新聞)
そしてもう一つのポエム記事は、存在そのものがポエム化した記事である。
毎日新聞「開かれた新聞委員会」の委員を務める日本大学危機管理学部教授の西田亮介氏は、こうした記事を「エモい記事」と呼ぶ。例えば毎日新聞(8月19日付夕刊)の〈スマホ厳禁 夏の「アナログ旅」〉である。
「毎日の記者がスマホを一切使わずに小旅行をするというもので、時刻表などを見ながら旅をしていました。千葉の房総で〈いすみ鉄道〉に乗ろうと思ったら脱線事故の影響で運休になっていた。しかし代行バスの存在が把握できておらず……みたいな内容でした」
西田氏はそう概要を説明した上で、
「こんな記事、新聞に掲載する必要はまったくないですよね。基本的に新聞の読者はコストのかかったストレートニュースを読みたくて、毎月5000円ほどの購読料を払っているのでしょうから」
このように記者が“体験してみた”系の記事も枚挙にいとまがない。〈初夏の富里スイカと快走〉(6月16日付読売新聞)は、記者が千葉県富里市の特産品であるスイカのかぶり物を着用してマラソン大会に参加するという“寒い”趣向だった。
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