最大の敵は「街路樹」で気苦労が絶えないのは「パトカー」…クルマを運ぶクルマ「キャリアカー」あるある 「車の天井」だけは」絶対に傷つけてはいけない理由

  • ブックマーク

 運ぶモノや場所によって車両の形も働き方も異なるトラック。現場でトラックの車両ごとに取材してみると、それぞれ特有の苦労があることに改めて気付かされる。

 なかでもとりわけ特殊な形をしているのが、車を運ぶトラック、「キャリアカー」だ。今回はその「キャリアカー」を運転するトラックドライバーたちの知られざる現場の現状や苦労を紹介していきたい。

最左車線を走りたくない理由

 日本で走っているキャリアカーは、最大6台が積載できるタイプが多い。新車から中古車、パトカーや自衛隊の車両までも積む。

 キャリアカーには屋根がない。つまり、むき出しの状態で「クルマ」という、商品価格が高く、見た目が重視される商品を運ぶことになる。とりわけ新車の輸送においては、傷が付いたり事故を起こしたりすれば、その分責任も重くなる。

 運転に際し、細心の注意を払う必要があるキャリアカーだが、日本の道路には彼らにとっての障害物が非常に多い。

 特に一番左の車線には、左折しようとする前方車両や自転車が走っていたりするが、キャリアカードライバーにとって、さらにもう1つ、大きな障害になるものがある。

「街路樹」だ。

 長年キャリアカーを運転していたドライバーによると、この街路樹は、季節や天候によって危険度が変わるという。

「『桜の季節』と『雨の日』ですね。木はつぼみを付け始めると重くなり、枝が下がる。とりわけ桜は景観維持のために枝がそれほど切られていないうえ、春は風も強くなるため緊張しますね。雨の日も同じで、しずくで枝が重くなり、枝が垂れ気味になるんです。こうした枝葉で積載車両にできた傷は、完全な不可抗力ですが、荷主にとって傷は傷。一車線道路でも、気持ちセンターライン寄りで走っているキャリアカーが多いですね」

 また、限られた作業スペースで、クルマを乗り降りしながらの搬出入においては、どうしても「当て傷」も起きてしまう。特にドアやボンネット、トランク、サイドミラーなどには傷がつきやすい。

 しかし、最も傷をつけてはいけないのが「天井」だ。

「クルマは天井部分が“一枚板”。他の場所に傷が付いても、交換すればまだ売り物になるんですが、天井の場合は、1か所に傷がついてもそのパーツだけの交換ができず、結果、廃車になることもあるんです。うちの会社では買い取りになったクルマを社用車として使っていましたね」

 運送業界には「最終ランナー」が責任を負うという現実がある。キャリアカーの場合、地場配送が「最終ランナー」だ。1つの傷が大きな損失になるため、ドライバーは、元々傷があったりしないか、商品車の積み込み時には目を皿にして、ボディの傷をチェックするのだという。

次ページ:「オープンカーを作る」

前へ 1 2 3 4 次へ

[1/4ページ]