最大の敵は「街路樹」で気苦労が絶えないのは「パトカー」…クルマを運ぶクルマ「キャリアカー」あるある 「車の天井」だけは」絶対に傷つけてはいけない理由
「オープンカーを作る」
一般的にトラックは、届ける荷主が複数ある場合、その順番を考え、先に下ろす荷物を手前に積むなどの工夫をすることが多い。が、キャリアカーの場合、最優先になるのは「高さ」だ。
道路法の車両制限令では、車両の高さは商品を含めた全高が原則3.8メートル以下と定められている(高さ指定道路の場合は4.1メートル)。多くが2階建て構造になっているキャリアカーは、この制限を超えないようにクルマを積むことが求められる。
たとえば、乗用車と軽トラックを同時に運ぶ際、軽トラックをキャリアカーのキャビン(運転席)上部にバックで積み込めば、キャリアカー全体の高さを低くできる。そんな計算をしながら、ドライバーは1台1台のクルマに乗り込み、搬入しているのだ。
こうした高さとの戦いのなかでも、厄介な車両があるという。
「パトカーですね。屋根に赤色灯が付いてるので、どう積み込んでも車高が高くなり、制限に引っ掛かりやすいんです。しかも流行りなのか、クラウンなどのセダンタイプよりもトールワゴン系の車高の高いパトカーが多く厄介でした」
この高さ制限は、守らなければ当然大ごとになる。
都心に近づくと、増えるのが電車のガードだ。車高が3.8メートルに制限されているガードを、3.8メートル以上で進入すれば、天井部分が接触する。こうして上部に積んだ車を廃車にしてしまうことを、キャリアカードライバーの間では、「オープンカーを作る」と言うのだそうだ。
「たまにガードの前に『3.8』と書かれた丸い看板がへこんでいるのを見ると、同業者たちがやらかした光景が目に浮かびます。自分もガードを進入した直後、ヤバイと思いブレーキをかけ、確認してみたら商品車がガードと5センチぐらいしかなかった。もしクルマが何かの拍子で跳ねたりしたら、当たっていたなと思いました」
積み込みの苦労
屋根がついていないキャリアカーは、仕事の進捗が天候に大きく左右される。東北地方でキャリアカーを運転しているドライバーは、こう話す。
「新車はスタッドレスタイヤを履いていません。車両の積み込みの際、スリップするということも」
雪が降らずとも、雨でもこのスリップは起きやすいと、前出のドライバーは話す。
「キャリアカーの荷台はペンキが塗ってある。その塗装って、非常に滑りやすいんですよね。とりわけ雨が降るとホイールスピンしてしまうんです」
キャリアカーの荷台には、タイヤの通路部分にしか鉄板が敷かれていない。そのため、車幅の狭い軽自動車がホイールスピンをすると、滑って内側に脱輪してしまうこともあるのだ。
また、積み込んでいる際に起きるトラブルの中には、「エンスト」もあるという。
「元々新車には、輸送用としてガソリンは数リットルぐらいしか入れられてないんです。しかもラストワンマイルにたどり着くまでに、その商品車はすでにかなりのガソリンを使ってきているわけです。そのため、上り坂になっているレーンをバックで積み込もうとすると、わずかなガソリンがタンクの中でかたより、ポンプが燃料を吸わず、途中でガス欠を起こすんです」
そうなってしまえば、運搬途中のクルマを平坦な道に自力で降ろし、一度ポンプにガソリンを吸わせ、エンジンをかけ直す必要があるのだ
積み込みに手こずれば手こずるほど、その先で使える燃料も少なくなる。これも「最終ランナー」の辛いところだ。
[2/4ページ]



