平幕優勝、不祥事で大関陥落、三段目から出直し…いま再び優勝争いに絡む32歳「朝乃山」 波乱の実力派にみなぎる「誰にも負けたくない」の気合い【令和の名力士たち】

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自身も「信じられなかった」大関昇進

「優勝がプラスになったことは、間違いありません。でも、翌場所、前頭筆頭で7勝8敗で負け越したのは、本当に悔しかった! その後おこなわれた夏巡業中には、蜂窩織炎になったりと、散々だったんですよ。でも、秋場所以降は、4場所連続2ケタを上げることができて、大関に昇進することができたんです」

 2020年2月頃から、世界中に感染が拡大した新型コロナウィルス。大相撲もその余波を受けて、3月の春場所は無観客での開催となった。

 その場所で11勝を上げた朝乃山は、直前の3場所(九州場所11勝、初場所10勝、春場所11勝)で、32勝を上げた。ちなみに大関昇進の一般的な基準は、「3場所で33勝以上」となっている。

「本音を言えば横綱戦(13日目白鵬、14日目鶴竜)で、勝ちたかった。昇進基準に届かない成績だから、正直ダメだと思っていたんです。だから、大関昇進が決まった時は、本当に信じられなかった……」

 平幕で優勝した経験と実績、将来性なども加味されたのだろう。晴れて、「大関・朝乃山」が誕生したのである。

コロナ禍でのコンプライアンス違反

「大関の名に恥じぬよう、相撲を愛し、力士として正義を全うし、一生懸命努力します」

 大関昇進伝達式では、母校、富山商高で学んだ教訓や、大切にしていた言葉をちりばめた口上を、力強く述べた朝乃山。26歳。脂が乗った新大関だった。

 しかし、2020年5月の夏場所は、新型コロナウィルス感染拡大のため、中止。

 朝乃山の「大関デビュー」は、7月の名古屋場所に持ち越されることとなった。デビューの場所は12勝。秋場所も10勝を上げ、翌年も初場所から11勝、10勝と大関として及第点を取っていた朝乃山。

 ところが、2021年夏場所中、大きな事件が朝乃山を襲う。コロナ禍で日本中の人々が不自由な生活を送っている中、相撲協会も感染拡大を防止するために、力士、親方、裏方の協会員に対して、厳しいガイドラインを強いていた。

 私的外出は基本的に禁止。飲食店などでの会合も禁止されていたのだが、緊急事態宣言中の4月末と5月初旬に、旧知の新聞記者と共に、朝乃山が都内のキャバクラを訪れていたことが判明したのである。この報道を受けて、師匠の判断で12日目から休場。

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