“最もキツい陸上競技”で世界を目指す「東大生」が語る“高い目標”との向き合い方 「勉強もスポーツも興味が湧くものを突き詰めるのが良いのでは」

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脂肪が増えていくのがショックだった

 高校3年生の8月末まで世界大会を戦っていた吉澤選手は、大会を終えて程なく受験勉強に本腰を入れることとなった。大学受験を見据え、早めに勉強に励んでいたこともあり、学校での成績は上位10位以内。9月の模擬試験では「A判定」を出すなど、合格に向けて順調に歩んでいるように思われたが……。一見余裕そうに見えるその心中は、不安だらけだったよう。

 吉澤選手も「確かにみんなは『大丈夫だよ』と言って励ましてくれましたし、模試や共通テストの成績を見ると、何とか合格できそうな雰囲気も感じましたが、絶対に受かりたいと思っていましたし、僕自身がビビりなところもあるので、実際に結果が出るまでは全く落ち着きませんでした」と、当時の心境を振り返る。

 その後、計画的な勉強の甲斐もあり、無事に東京大学理科一類の合格を掴んだ吉澤選手だが、部活を引退して合格を掴むまでの半年間には、これまでに味わったことがなかった意外な悩みに苛まれた。

「受験を控えた時期はほとんど陸上の練習をしていませんでした。タイムやパフォーマンスが落ちてしまうことはさほど気にしていませんでしたが、身体を動かさない時期が続くと、だんだん身体に脂肪が増えていくことがわかって。それまでは脂肪の存在を気にすることなく生きてこられたこともあり、自分の身体が自分のものではないような状況に直面した時はだいぶショックで、苦しさや辛さを感じずにはいられませんでしたね」

目標は世界大会の決勝に残ること

 予期せぬ変化や葛藤を乗り越えながらも、現役合格を掴んだ吉澤選手は、100人を超える部員を擁する陸上運動部に入部。トラックやトレーニング施設も整う環境で、共に高みを目指す友人たちから刺激を受けつつ、自身の走りと向き合う日々を過ごしてきた。

「受験で競技を離れたブランクを埋めながら、最初の2年間は強度の高い練習に取り組めるような身体作りを意識した」と話す吉澤選手は、最も得意とする800メートルのパフォーマンスに磨きをかけるために、長い距離の走り込みや、体幹やウエイトの強化にも着手し、シニアや海外勢の選手に引けを取らない速さと安定感のある走りを身につけた。

 9月に行われた日本インカレでは、男子800メートルに出場。吉澤選手の地道な努力の甲斐もあって自己ベスト記録を更新し、2位でゴール。東京大学の選手が日本インカレの表彰台に上がるのは5年ぶり。男子では34年ぶりの快挙だった。

「まだあまり選択肢を絞れていない部分もありますが、色々なことをやりながら進むべき道を決めていきたい。大学卒業後は大学院に進むつもりでいますが、まずは全力で打ち込める期間が限られている陸上競技に力を注ぎ、高みを目指したい。具体的には日本代表の一員として国際大会に出場し、世界大会の決勝に残ることを目標に掲げていけたらと思っています」とさらなる意欲も覗かせた。

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