陸上「世界大会出場」の半年後に「東大理一」に現役合格…吉澤登吾選手(20)は模試で東大A判定も「“ビビり”なので全く安心できませんでしたね」
勉強時間を増やすことを意識していた
そのトレーニングで自信を付けた吉澤選手は、中学2年生で出場した全日本中学校陸上競技選手権大会(以下、全中)の800メートルで5位に。
「来年こそは優勝を……」と意気込んだものの、中学3年生では大会前に負傷し、スタートラインに立つことすらも叶わなかった。
「僕としては『絶対に目標を達成できる』という手応えも感じていたので、その土俵に上がることすらもできずに大会を終えたことは、当時の僕が歩んできた15年間の人生でかなり辛い経験でした。怪我が完治した後も、なかなか思い通りにタイムが戻らない時期があって、そこでもまた上を目指すことを諦めてしまいそうなくらいに落ち込みましたけど、楽しむことを意識するようにしたら、やがてイメージ通りの走りを取り戻すことができて、再び前向きに陸上に打ち込めるようになりました」
陸上競技に打ち込む一方、進学校に籍を置く吉澤選手は勉強にも力を注いだ。
「あまり覚えていませんが、テストの順位は一桁にいくかどうかといった感じだった気がします。15時に学校の授業を終えると、15時30分から陸上部の練習が2時間ほどあり、19時過ぎに帰宅して食事や入浴を済ませると、21時頃から2時間くらい勉強して眠りにつくといったスケジュールでした。クラブ活動を続けながらだと、高校生活の終盤に勉強時間が取れなくなることは分かりきっていたので、中学2年生の頃から通学の時間にも参考書を読んだりして、『少しでも勉強時間を増やせるように』と心がけていましたね」
「選ばない理由がなかった」東大を受験
高校に進んだ吉澤選手は、「小学校の頃から理科や数学が好きで面白さを感じていた」ことから理系を選択。「自宅から通いやすく、レベルも高い学校であり、陸上競技をやる環境も整っている。僕にとって選ばない理由がなかった」という東京大学合格を目指し、英語、数学、国語の主要3教科に加えて、理科は物理と化学を選択。共通テスト対策で地理と情報の勉強にも取り組んだ。
「競技に打ち込んでいる期間は英語、数学、理科といった主要科目に絞って勉強を進めていました。早い時期から勉強を始めていたおかげで何とか間に合いましたけど、もしそうでなければ合格を掴むのは難しかったような気もします」
大学受験を半年後に控えた高校3年生の6月にはU20日本選手権に出場し、800メートルで優勝。その功績が認められて、8月のU20世界選手権にも日本代表の一員として選出された。
「夏休み期間は、朝と夕方に大会に向けた練習を続けながら、空いている時間は勉強する日々を過ごしました。学校は休みだったので、スケジュールは自由に組むことができましたけど、時間が限られていたので、当時は体力的にも結構しんどかった記憶があります」
とはいうものの、世界の舞台を目指しながら、過去問演習を繰り返した吉澤選手は、夏の終わりに受験した模擬試験でA判定を獲得。合格に向けて順調に歩んでいるように思われたが……。本人の印象は意外なものだった。
「周囲の人は『このままいけば大丈夫だよ』と言って励ましてくれましたけど、あくまでも模擬試験ですし、僕自身は“ビビり”なので、全く安心することはできませんでした」
その後もひとときの結果に一喜一憂することなく勉強を続けた吉澤選手は、世界大会からおよそ半年後の2025年2月に東京大学理科一類に現役で合格。ハイレベルな文武両道を見事に実現させた。
第2回【“最もキツい陸上競技”で世界を目指す「東大生」が語る“高い目標”との向き合い方 「勉強もスポーツも興味が湧くものを突き詰めるのが良いのでは」】では、引き続き、さらなる高みを目指す吉澤登吾選手に、目標との向き合い方や今後について語っていただきました。





