習近平氏“一強”体制に渦巻く不穏な空気…「人民解放軍」「太子党」にも容赦しない大粛清で“孤独な最高指導者”をおびやかす反撃の狼煙は上がるか

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軍と太子党の恨み

 習主席側と人民解放軍は深刻な対立が生じており、これまでに両者の軍事的な“衝突”に関する情報は何度も飛び交ってきた。

 まず昨年8月には北京の中心部で、中国人民解放軍の第82集団軍の一部と、習主席を警護する特別勤務部隊(党中央弁公庁警衛局部隊)による武力衝突が発生したとの情報が流れた。

「今年に入ってからは1月にも82軍と83軍の一部が北京で武装警察との間に武力衝突が起きて死者が出たとか、3月には北京で複数の爆発が起きた、といった情報が乱れ飛びました。情報の真偽はもちろん不明ですが、一つ注目すべきポイントがあります。人民解放軍に対する粛清が相当なものだったのは先に説明した通りですが、武装警察を統括する公安部の上層部でも頻繁な人員の入れ替えが行われているのです。しかも、いわゆる“習派”と目されていたメンバーの一部が異動させられ、政治的にはニュートラルな顔ぶれが増えているのです」

 なぜ習派の幹部も姿を消しているのか。田中氏は「習主席のミスとして、1点目は後継者の指名と引退の発表を行わなかったこと、2点目は軍と太子党の恨みを買ったことが挙げられます」と言う。

 近年、中国の最高指導者の多くは2期10年の任期を守り、後継者を指名することで発言力を確保する道を選んできた。穏やかな“禅譲”で党内を安定させ、自身は院政を敷くことで政治への関与を続けるためだ。

“反習近平”グループの反撃

「ところが習主席は、まるで“終身独裁”を目指すような行動が目立ちます。2期10年の任期を無視し、2023年3月の全人代で3期目に突入しました。そして27年秋に開催が予定されている党大会では4期目の選出が行われるのか、その前に引退を表明するのか、大きな注目を集めています。こんな状態では党内が不安定化するのは当然でしょう。さらに、あれほど軍で大規模な粛清を行えば、軍のメンツは丸潰れです。『何とかして習主席に一矢報いよう』と粛清を生き延びた幹部が団結しても不思議ではありません」(同・田中氏)

 さらに太子党の問題がある。太子党とは中国共産党の高級幹部の子弟や親族のうち、世襲的な特権や人間関係を背景に政財界で大きな影響力を持つ超エリート集団だ。習主席も太子党の一員であることは言うまでもない。

「ところが習主席は独裁色を強めていく過程で、太子党のメンバーを政権から意図的に排除しました。その代わりに、かつて自身が勤務していた福建省・浙江省などでの部下や同僚を重用しており、太子党のメンバーは深い不満を抱いていると言われています。公安部で頻繁な人員交代が行われているのを見ると、解放軍や太子党など“反習近平”のグループが巻き返しを図っているようにも見えます」(同・田中氏)

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