人口減少率日本一の秋田駅前にマンションが続々建設の動き 購入希望者急増の背景は「駅前なら、クルマなしで生活できる」ため

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 2000年時点では約119万人を抱えていた人口が現在は約86万人まで減少するほど、深刻な人口減少が続いている秋田県。その県庁所在地である秋田市の玄関口・秋田駅前には、近年、高層分譲マンションが次々に建設されて話題になっている。

 その販売価格は1室3000万円から5000万円台まであり、関東近郊でマンションを買うのとそれほど変わらない価格である。人口が減っているうえに土地も余っているという秋田県に似つかわしくない、高価格帯の高層マンションが建つ背景には、東京とは異なる地方特有の事情があるようだ。【取材・文=山内貴範】

郊外から駅前へ回帰の動き?

 秋田県に限ったことではないが、日本の地方都市は極端なほどのクルマ依存社会に陥っている。地方都市の公共交通は一部を除けば総じて利便性が低く、「1年に1回も乗らない」人も少なくない。そのため、平成以降は駅前が衰退してシャッター通り化していき、大型ショッピングセンターがある郊外の一軒家で暮らすライフスタイルが定着した。

 ところが、郊外での生活にもリスクはつきものである。クルマ社会であることを前提に計画されているため、ショッピングセンターが徒歩圏内にないことがほとんどだ。到着したあとも駐車場が広すぎて、中に入るまで時間がかかる。ましてや免許を返納したら行くことが難しくなり、買い物難民になってしまうリスクが極めて高いのである。

 秋田市内の不動産に詳しい業者が、駅前のメリットをこのように話す。

「秋田駅前であれば必要最低限なものがすべて徒歩圏にあるため、最近はそのメリットが見直され、駅前に回帰する動きがみられます。とりわけ高齢者には、クルマなしで生活できる駅前のメリットが大きく、退職後に駅前に住むケースがあります。また、そういった将来を見越して、若い頃から駅前にマンションを買う人もいるようです。

 もっとも、すべてのマンションが分譲開始とともに完売になるようなことは珍しい。のちに値下げされたり、販売不振に陥って他の業者の手に渡ったのち、販売が継続されているケースもありますからね。ただ、これまで郊外一辺倒だった秋田市のライフスタイルが、じわじわと駅前に回帰し出しているのは興味深い事案だと思います」

秋田駅前の人口は増えている

 その発言を裏付けるデータがある。秋田県全体でみると人口は急激に減少しているものの、秋田市の中心市街地の居住人口は増加傾向にあるのだ。秋田市が発表した統計によると、2025年度の秋田市の中心市街地の居住人口は4606人と、前年度比116人の増になっており、しかも例年増加傾向にあるのだ。

 これを後押ししているのが、昨今、秋田駅前で相次いでいるマンションの建設ラッシュと考えられる。秋田市内では2003年に「ベルドゥムールランドマーク秋田」が完成した際、タワーを除けば秋田県でもっとも高い建築物が誕生したとして話題になったが、それ以降はマンション建設の動きがそれほど大きくなかった。

 ところが、2020年にコロナ騒動が始まってからは、17階建てで60戸の「クロッセ秋田」が完成したのを皮切りに、「ベルドゥムール秋田千秋公園」、「レーベン秋田駅前 GRAN LIVERA」、「プレミスト秋田中通ザ・レジデンス」、「ウィザースレジデンス秋田ザ・タワー」など、マンションが毎年のように竣工していった。

 今年2月にも、20階建て、総戸数129戸を誇る「レーベン秋田 THE IMPERIAL TOWER」が竣工した。いずれのマンションも秋田駅から徒歩圏内であり、立地は非常に恵まれている。平成中期には行政主導の駅前再開発が相次いで失敗したことから、県民もほとんど行かなくなったと言われて久しい秋田駅前だが、令和になって変容しつつあるのだ。

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