「六甲おろし」のあとに巨人が胴上げ…阪神の連覇で振り返る“敗戦日に優勝”したチーム列伝
10月3日、阪神が球団史上初のリーグ2連覇を達成した。この日はデーゲームで広島に逆転負け。それから3時間51分後、2位・巨人がナイターでDeNAに敗れた結果、2年連続8度目のセ・リーグ優勝が決定した。1リーグ時代を含めると通算12度目となる。【久保田龍雄/ライター】
【ファン歓喜】10月7日の広島戦でサヨナラ勝ちの阪神 引退試合を前に先発した人気投手が好投する様子
まずは「六甲おろし」
歓喜の瞬間に自分たちの試合で勝っていたとは限らない。過去にも、試合に敗れた日に優勝を決めたチームがあった。
サヨナラ負けを喫した直後、「六甲おろし」の合唱を待って敵地で胴上げを行ったのが、2002年の巨人である。
マジック1で迎えた9月24日の阪神戦。巨人は2回に江藤智の右前タイムリーで先制し、4回には阿部慎之助の右越えソロでリードを広げ、2対1で最終回を迎えた。
すでに7回の攻撃中、2位・ヤクルトが中日に敗れたとの一報が入り、巨人の2年ぶりVは決定していた。とはいえ、このまま1点のリードを守り切り、「優勝を決めた日に勝って胴上げを」と願う気持ちは皆同じだった。
ところが9回裏、先発・入来祐作をリリーフした守護神・河原純一が、先頭の浜中おさむにバックスクリーンへの同点ソロを浴びる。試合は土壇場で振り出しに戻った。
さらに2対2の延長12回、4番手・前田幸長が1死満塁から浜中に投じた3球目が暴投となり、まさかのサヨナラ負けを喫した。
肩を落としてベンチに戻った巨人ナインだったが、直後には清水隆行と清原和博が、サヨナラ負け直後としては異例の歓喜の握手を交わした。
本来なら、ここで原辰徳監督の胴上げとなるところである。だが、試合は阪神が勝った以上、まずは「六甲おろし」が優先された。
試合前に阪神側と協議し、「阪神が勝っても『六甲おろし』は歌うが、ヒーローインタビューは行わない」と、これまた異例の取り決めをしていた。
1973年の巨人のV9決定時には、勝てば9年ぶりの優勝だった阪神の完敗に怒ったファンが暴徒化し、グラウンドへ乱入する騒動が起きている。それだけに試合終了と同時に警官、警備員450人がグラウンドへ入り、物々しい警戒態勢が敷かれた。
「六甲おろし」の合唱が終わると、いよいよ原監督の胴上げが始まった。
スタンドの一部の阪神ファンから数十個のメガホンが投げ入れられたが、サヨナラ勝ちで一矢報いて溜飲が下がったのか、大半の虎党は静かに胴上げを見守った。
原監督が「巨人ファン、阪神ファンの皆さん、最後まで応援ありがとう」と感謝の言葉を贈ると、スタンドからは大きな拍手が起きた。
原監督はさらに、「野球人にとって志の高い球場で、先輩たちが築き上げた伝統の一戦で、決められたことをうれしく思います」とコメント。高校時代から思い出の多い球場でのV決定に、感激もひとしおだった。
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