「本当に私も参加できるの?」…“標準治療”を選んだ膵臓がん患者の心が揺れた民間療法ではない“第3の選択肢”

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「希望の選択」と同時に

 がん患者にとって治療法を決めるということは、希望の選択であると同時に、それに伴うマイナス面を覚悟することでもある。頭ではわかるものの、直面するまで実感を持ちにくい現実をリアルに見せてくれるのが「Wit」だ。もっとも、エマ・トンプソンの演技はあまりにも真に迫り、気持ちがマイナスに傾いているときには視聴をお勧めしない。

 治験について調べはじめたのはいいものの、自分の病気について調べること自体、決して楽しい作業ではなかった。検索すればするほど、自分の病気がどれほど深刻なものなのかを改めて知らされる。治療について調べれば、その先に待っているかもしれない副作用や身体的なつらさを想像することになる。

 治験についての情報を集めるという一見冷静な作業が、そのまま自分の病気と向き合う作業になってしまう。前向きな気持ちで続けられるものではなかった。

 そんな私の心理状態を汲み取ってくれたのが妻だった。私の代わりに、妻はさまざまな治験の情報を調べてくれた。

 そして最終的に、いくつか「もしかすると自分も対象になり得るのではないか」と思える治験の情報が見つかった。

※記事中で引用・参照した文献・資料の出典は以下の通りです。
「Wit(ウィット)」(監督 マイク・ニコルズ/アメリカ/2001年)

Y・J
1963年生まれ。京都大学大学院を経て、テレビ局に就職し、数多くのドキュメンタリー番組や教育番組を手掛ける。退職後は大学に転職し、現在も教員としてメディア論や社会学などを教えている。

デイリー新潮編集部

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