「本当に私も参加できるの?」…“標準治療”を選んだ膵臓がん患者の心が揺れた民間療法ではない“第3の選択肢”
副作用に対する漠然とした不安
大学卒業後、テレビ局で数多くのドキュメンタリー番組や教育番組の企画・制作に携わり、退職後は大学でメディア論について教えてきたY・Jさん(62)。その日常は、2024年7月に膵臓がんの告知を受けたことで大きく変化します。悩みながらも自身の状況を家族や友人に伝え、化学療法による治療が間近に迫った頃――。これまで想定してこなかった“選択肢”に彼の心は揺れていました。【Y・J/大学教員、映像作家】
【写真を見る】標準治療ではない“新たな選択肢”に心が揺れる著者の目に映った光景…がん患者という“新しい世界”を生きる筆者の近影
8月末に治療を始めることは決まっていた。この日程にしたのには理由がある。9月半ばからは大学の後期授業が始まる。数十人、場合によっては数百人の学生が待っている講義を、体調がどうなるかわからない状態のままスタートすることに不安があったからだ。
抗がん剤によって自分にどのような副作用が出るのかは、実際に治療を受けてみなければわからない。強い倦怠感が出るのか、吐き気が続くのか、それとも影響しないのか。抗がん剤の副作用は投与を受けてすぐに現れるものばかりではないが、動けないほどダメージを受けるのかそれともある程度は動けるのか、講義が始まる前に感触を得ておきたかった。
振り返ってみれば、7月末に宣告を受けたからこそ、このスケジュールを組むことができたわけで、その意味では幸運だったと言えるのかもしれない。
とは言うものの、副作用に対する漠然とした恐怖感は拭い去れない。本当に化学療法を始めていいのか、不安がなくなったわけではなかった。
私は、講義の準備をしながら、これまで通り友人と積極的に会っていた。
そんな日々を過ごしていたとき、友人の一人と食事をしていて「治験」の話が出た。標準的な化学療法とは違う、新しい治療法を探してみてはどうか、そう言われた。治験という言葉は知っていた。しかし、それまで自分の治療の選択肢として考えたことは一度もなかった。
そもそも治験とは何なのか。
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