「出身地を尋ねるのもNG」「タバコ吸いました? スメハラです」 誰しもが「加害者」にされかねない「コンプラ社会」の生き方

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「〈奥様〉という言葉を使わないようにシステム変更を……」

 現実に何が起こっているのか、さる大手サービス企業の関係者に実態を明かしてもらおう。

「例えば、男性上司が女性部下と一対一で打ち合わせをする場合には、正面ではなく斜めに向かい合って座ることが推奨されています。正面だと“威圧的に感じる”という理由らしいですが、正面はダメだけど斜めなら安心、などと思ってる人が本当にいるのか疑問です」

 大手広告会社の関係者が後を継ぐ。

「アンケートでそれまで使っていた〈奥様〉という表記を一切使わなくなりました。“家の奥に妻を閉じ込めている意の差別的表現だ”と攻撃されないようにするためです。代わりに〈妻〉で統一することになりましたが、そのためのシステム変更は結構大がかりでした」

 このように、言葉の言い換えも定番になっている。

「〈ママにうれしいキッチン〉もNG。“家事は母親だけが担うべきだという価値観を押し付けている”というわけです。〈人気の学区〉もダメ。そこ以外の学区を見下しているように感じる人がいるかもしれませんからね」(同)

 そう苦笑するのである。

「管理職が部下に馬鹿丁寧なコメントをするように」

 業務で欠かせないメールに関して、独自ルールを定める会社もある。さる大手企業の関係者が言う。

「社内ガイドラインで〈メッセージを送る際にはカレンダーを見て相手の業務時間を確認した上で、その時間内に送信するように〉と推奨されています。〈業務時間外に回答を求めてはならず、質問する場合は『回答は翌日の業務時間内で構いません』と一言添える〉とも決められていますね」

 驚くべきことに、これは社内メールについての取り決めなのである。

「違反すると、“業務時間外にメールを送ることは許されているのでしょうか?”といったクレームのメールを人事部に入れる人もいます」(同)

 どちらかといえば“旧弊”なイメージがつきまとうマスコミ業界でも、対策には抜かりがない。さる出版社関係者が言う。

「社員の書いた文章を別の人がチェックして、“ここは違うのでこうした方がいい”“なんでこれを書いたの?”などと、ストレートなコメントを付けて返すのが元の社風でした。ところが、これに耐えられないという新入社員が入ってきた。その人は“先輩社員の言い方がキツ過ぎる。大変なダメージを受けました”と訴えたみたいです」

 すぐに対策が講じられた。

「管理職から部下に“人の文章に対するコメントには気を付けるように”とお達しがありました。相手を否定しないよう“ここの表現はちょっと分かりにくいので気になりましたが、いかがでしょう?”と、馬鹿丁寧にコメントしなさいってことでしょうね」(同)

 一体、どこからがハラスメントなのか。答えのない難問を前に茫然と立ちつくした挙句、コンプラの専門家を社員として招聘(しょうへい)する企業もある。そこでどんなことが起こったか。

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