「パパ。私、結婚するから」20歳娘が突然宣言、選んだ相手はまさかの… 「おまえはオレの娘を女として見ていたのか」

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嗚咽する娘、どう声をかけたらいいか

 目を真っ赤にしながらそう言うと、慎太さんはうつむいた。それについては謝る。だけどおじさんは、若い子の誘惑に勝てなかった。それだけなんだ、愛じゃないと雄二さんは言った。自分が悪者になるしかないと悟ったのだろう。

「愛というのは、きみのパパとママがきみを思う気持ちだよ。それを愛というんだ。オレは若い子とちょっと楽しみたかっただけ。ごめん。こういう男ばかりじゃないからね、もっといい男はたくさんいるから」

 雄二さんはそう言って去って行った。その日、息子はサッカーの合宿でいなかったのが不幸中の幸いだった。3人になった家の中は静まりかえり、娘の嗚咽だけが響いていた。

「人生最初の失恋を親の前で経験した娘には同情するしかなかった。ただ、娘が生き死にを考えているのではないかと、それだけが怖くて。どう声をかけたらいいかわからなかったんですが、しばらくして顔を上げた娘は『私はあきらめないから』と。妙に思いつめた表情だったから、それはそれで怖かったですね」

「真実」を言うしかない…“私、不倫したってこと?”

 夫婦は、やはり真実を娘に言うしかないと話し合った。成人した大人なのだし、娘が正しい判断をしてくれると信じていると前置きして話そうと。

「話しましたよ。すると娘はさすがにショックを受けたようでした。『私、不倫したってこと?』と。知らなかったのだからしかたがない。オレたちも知らなかったんだ、離婚してなかったことを。そう言ったら娘は『ぶっ殺してやる』とすごい形相になった。僕はあわあわしていたんですが、紘絵が静かに、でもドスの効いた声で『そういうことは言うものじゃない。そしてそういう行為にも及んではいけない。あなたなら冷静に考えられるでしょう』と言ったんです。すごい声でした。地の底なのか天空からなのかわからないけど、心に染み入るような声で、しかも有無を言わせない口調だった。威厳がありました」

 娘もそれを感じ取ったのだろう。何も言い返さず黙り込んだ。しばらくたって、娘は「わかった」と言った。何をわかったの、私たちはあなたを信じてるよ。それでいいのねと紘絵さんが言うと、娘は「うん」と紘絵さんにハグをした。「ちょっと思考停止にする」と娘ははっきりと言った。それについては考えないという意思表示だから、大丈夫だと思うと紘絵さんはホッとしたようだったが、慎太さんは気もそぞろだった。

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