熊本地震は南海トラフ地震の前触れか? 「活動期に入っている状態」「今回の100倍以上のエネルギー」
地震の報に接して、誰もが10年前の被災を思い出したことだろう。やはり、今回の地震と関係はあるのだろうか。京都大学防災研究所附属地震災害研究センターの西村卓也教授によれば、
「日本列島で起こる地震には大きく分けて二つのタイプがあります。プレートが沈み込むときに海で起こる海溝型地震と、陸のプレート内にある活断層などが動いて起こる内陸型地震で、今回の地震は内陸型です。10年前の地震と非常によく似ています」
東海大学客員教授で、日本地震予知学会会長の長尾年恭氏が後を継ぐ。
「前回の地震を引き起こした日奈久(ひなぐ)断層は全長81キロありますが、当時は断層の北側15キロの範囲しか動きませんでした。この日奈久断層による前震に誘発されて、2日後に布田川(ふたがわ)断層で一番大きな本震が発生したのです。今回の地震は、その日奈久断層の中部に位置する“割れ残り”が動いたために発生しました。私どもの研究グループは2019年に熊本県庁で会見を開き、“次の地震は日奈久断層で発生する”と話したこともあり、そういう意味では予想されていたのです」
なぜ予想できたのか。
「地震が発生すると、破壊されなかった断層にひずみがたまっていきます。そこで新たに地震が起こる可能性が高くなるからです」(同)
2度の地震を経てなお、この日奈久断層には“割れ残り”があるという。
「水俣方面に位置する断層の南側はもともと活動度が高く、政府の地震本部ではSランクという一番高い地震発生確率の評価を受けていました。今回の地震の影響が加わったとすれば、さらに危険性が増していることになります」(西村氏)
今回の100倍以上のエネルギー
懸念される地震はいつ起こるのだろうか。
「もしかしたら明日かもしれないし、今回と同じく10年後かもしれない。これは明確には言えません。しかし、水俣方面で起きる地震については、M(マグニチュード)7.3規模になるという地震本部の見積もりがある。さらに“割れ残り”の規模を考慮すると、それを上回る可能性もあると思います」(西村氏)
九州ではほかにも気がかりな動きがある、と先の長尾氏が指摘する。
「05年の福岡県西方沖地震では、博多駅の真下を通る警固(けご)断層が動きました。あれから20年たちましたが、警固断層の“割れ残り”はまだ動いていません。学者の間では、警固断層に心配な割れ残りがあるというのは常識になっています」
また、近年取り沙汰されることの多い“南海トラフ”との関係も気になるところである。西村氏が続ける。
「南海トラフ地震の発生が近づくにつれて、西日本の内陸型地震が増える傾向があるといわれています。1995年の阪神・淡路大震災、2018年の大阪府北部地震、そして10年前と今回の熊本地震など、この30年、西日本で内陸型地震が多く発生していますが、これは“南海トラフ地震の活動期に入っている状態”と捉えられます」
西村氏によれば、南海トラフ地震は、今回の100倍以上のエネルギーを持つというから恐ろしい。
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