自宅で倒れた50代バツイチ医師 友人が港区マンションに駆け付けると…“ゴミ屋敷”だった 片づけのプロが警告する「妻任せ」の代償

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片づけで気持ちを切り替える

 西崎さんは、短時間の片づけには、目の前の行為に意識を集中させ、気持ちを切り替える働きもあると考えている。

「不安やモヤモヤを抱えると、考えがどんどん悪い方向に進むことがありますよね。そんなときは、5分だけでも片づけに集中してみてください。目の前の物を一つずつ分けているうちに、ネガティブな思考のループがいったん途切れる。瞑想のように、意識を“今”に戻すきっかけになるんです」

 西崎さんが特に勧めるのが、朝の短い片づけ習慣だ。

「夜は仕事や家事で疲れ、予定も崩れやすい。ですから私は、片づけを習慣にするなら朝を勧めています。ただ、最初から『毎朝10分』と決めてしまうと、それさえ負担に感じる人もいます。もっと気軽に、コーヒーのお湯が沸くまで、トーストが焼けるまで、洗濯機が回り終わるまで――。そんな“終わりの合図”がある隙間時間から始めてみましょう」

 西崎さんは、1日の「わずか1%」を片づけに充ててほしいと呼びかける。

「1日の1%は14.4分ですが、その全部を一度に使う必要はありません。まずは1分でも5分でも、自分の未来のために使ってほしい。今日は洗面台を拭く、明日は引き出しを一段だけ整理する。小さく区切って『できた』という感覚を積み重ねることが大切です」

苦手な家事はプロに任せていい

 一方で西崎さんは、何もかも自分でやる必要はないとも。

「換気扇やトイレなどの水回り……自分が苦手で嫌だなと思う家事は、無理に自力で頑張るより、プロの業者を頼った方がはるかにきれいで早い。自分でやって壊したり、イライラしたりするくらいなら、手放すべきです」

 浮いた時間を、自分が得意とする付加価値の高い仕事に充てたほうが、生産性は圧倒的に上がる。

「それは結局、社会にお金を回すことにもなるんですよ」

 プロに頼むタイミングにもコツがあるという。

「業者が混み合う年末年始を避けて、10月頃や、引っ越しシーズンが始まる前の2月頃に先回りして予約すれば、比較的予約が取りやすく、料金も抑えられることがあります。ゲーム感覚で、時間とコストを自分でコントロールするのも楽しいものです」

 西崎さんが繰り返し指摘するのは、片づけられない人の多くに共通する「決断の遅さ」だ。

「片づけられない人ほど何事も決断がギリギリになる。遅刻癖があったり、仕事にもいつも追われていたり――ギリギリで動く人は、実はいろんな意味で損をしているんです」

 早めに決め、早めに動く。その積み重ねこそが、片づけにも仕事にも通じる自己管理の本質だという。片づけは、ただ部屋をきれいにするためのものではない。配偶者や子どもに依存せずに、自分の生活を自分で引き受けるための備えでもあるのだ。

「何も置かれていない空間は心地いい……という“余白の贅沢”を知れば、片づけを続けるための工夫も、自分で考えられるようになるのです」

※事例は本人が特定されないよう、複数のケースをもとに再構成し、職業や家族構成などを変更しています。

※掲載写真は西崎さんが過去に手がけた実際の片づけ事例です。本文で紹介したエピソードの当事者とは異なります。掲載は提供者の了承を得ています

西崎彩智(にしざき・さち)
1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。大卒後、大手住宅会社のインテリアコーディネーターとして活躍。結婚を機に退職し、専業主婦となり2児の母となる。約20年の結婚生活もパートナーのリストラを機に夫婦関係の亀裂が露呈し破局。それを機に再就職。仕事と家事と育児の両立を図る中、得意の片づけを生かして起業。構築した片づけ習慣化講座「家庭力アッププロジェクト(R)」修了生は全国で4000名を上回る。企業や組合のビジネス片づけ講座も手掛ける。テレビ、ラジオ出演ほか、メディア掲載、著書多数。最新刊は『時間とお金にゆとりが生まれる 貯まる片づけ』(プレジデント社)。

取材・文/木原みぎわ

デイリー新潮編集部

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