“伝説の捜査1課長”が対峙した「古美術店主」失踪事件の闇…別宅に愛人を囲い、高級外車を乗り回す「疑惑の従業員」は果たして“クロ”か?

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従業員への集中捜査

 まず、それまでの捜査内容が報告された。店の経営やYさん本人の健康状態などから、失踪につながる要素や動機が見当たらない。また、行方不明になったことが報じられているのに、本人から身内や関係者に連絡がない。そして、本人は外国語に堪能ではないことに加え、出国した形跡もない――このような捜査結果と寄せられた情報から、Yさんは秘宝展に絡み、その内情を知っていることから、同業者もしくは関係者に消された(殺害された)可能性が高いのではないか……。

 一方で、「Zの言動に不審な点がある」との情報も寄せられていた。そこで田宮氏は、有力容疑者として、Zに絞った捜査方針を立てる。本人の述懐。

〈「“(Zを)これ以上、泳がせてはダメだ。確実に身柄を取るため、必要な材料を集めろ”と、別件容疑を探すよう指示しました」(「週刊新潮」2004年9月16日号)

 田宮の命を受け、いわゆる「勘(カン)の捜査」(被害者の人間関係を洗い、事件解明の端緒をつかむ)を担当したのが、9係のベテランデカ長(巡査部長)である。本人の証言。

〈「(Yさんの)自宅に(Zが)泊っていることが多く、ご機嫌伺いを装って、部屋の様子を探りに行きました。すると衣装ケースから衣類は出しっぱなしで、部屋がメチャクチャ(Zは)“オヤジからは今、ヨーロッパを回っているという連絡があった。1週間か2週間で帰ってくると思う”とか言ってる。それなのに部屋が乱雑すぎる」〉(同)

 Yさんが帰宅しない=殺害されていることを前提に、部屋にある金目のものを漁っているのではないか……Zの行動を洗い、特に金の流れを追う捜査が始まる。

どす黒い腐敗汁

〈「奴には横浜に妻子がいて、月に30万円送金していました。にもかかわらず、一方で板橋に愛人がおり、妻帯者であることを隠してこの女性と結婚式まで挙げていた」〉(同)

 金がいくらあっても足りないはずなのに、高級外車を乗り回している事実も判明する一方、愛人と住んでいた板橋区内のマンションを内偵していた捜査員から、捜査本部が飛び上がるような情報が入った。

 駐車場に停めてあるZが使用しているワゴン車から、どす黒い腐敗汁がしたたり落ちている、というのだ。車の中をのぞくと、大きなボックスがいくつか積まれているという。

「バラバラに切り刻んだYさんの遺体がその中に!? 腐敗汁の正体は……」

 捜査本部はZの事情聴取を決断した。

【第2回は「昭和のミステリー『無尽蔵事件』で浮上した『ワゴン車から滴る腐敗汁』の正体…骨董店主の失踪に“男性従業員”は関与したのか」

デイリー新潮編集部

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