100メートル先にクマを発見…旭山動物園の統括園長は、その時どうしたか 『クマ撃ちの女』作者と語る「共生」を叫ぶ前にすべきこと
自然と動物を知り尽くした坂東元を『クマ撃ちの女』安島薮太が直撃(後編)
旭山動物園の坂東統括園長と、漫画『クマ撃ちの女』の作者・安島薮太さんによる対談。記事前編では、クマが母親から人里での行動を学ぶ仕組みや、近年、人の生活圏を自らの生活圏にしつつある理由、食べ物との結び付きを断つための対策について語り合った。後編で語られるテーマは、街中や商業施設でクマに出くわしたらどうすべきか、クマがいなくなれば生態系は崩れるのか、そして人とクマの「共生」とは何なのか――。
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漫画で描こうとしたことが、まさかの現実に
――さて、『クマ撃ちの女』最新刊では、商業施設にヒグマが現れます。
安島:人が勝手に思い込んでいる人間圏と自然圏をバッティングさせたらどうなるのか、シミュレーションしたいと思ったのが発端です。商業施設は人の文化の最たるものですが、そこにクマが1頭現れただけですべてが壊れてしまうのは面白いなと。来るならおそらく川伝いで、ちょうど旭川の市街地は川沿いにあるし、あり得るかもしれない。
坂東:構想を聞いたときは、まさか前例ができてしまうとは思わなかったよね。実際に日本のいろんなところで、そういうクマたちが出て来て。
安島:なるべくリアルなものを描きたいとは思っているのですが、まさかでした。
商業施設でクマに遭遇したら…
――商業施設みたいな場所で出くわしたときの最適解は何でしょう? 山と同様に、刺激しないようにゆっくりその場を離れる感じでいいのでしょうか?
坂東:別に人を食べるために来たわけではないでしょうから、クマが把握できる動きをしていれば向かって来ないと思います。逆に予測できない動き、急に走り始めるとか、目の前を横切るとか。そういう動きには反応するし、しゃがむ、背中を見せるといった無防備な体勢にも本能的にすっと一歩向かって来ます。他の動物でも同じですけど。
安島:本能を刺激しない動きが重要ですか?
坂東:そうですね、肉食動物の本能というか。人も同じですよね? 鬼ごっこをやっていて、必死で逃げようとする人ほど追いたくなる(笑)。
安島:商業施設に入り込んだら、クマの方も怖いのかなと思って。それで山とは全く違う空間であることに恐怖を感じて、逃げ惑う描写にしたんです。その様子に人がおびえて逃げ回り、パニックになってケガをしてしまう。
坂東:ただ、今は人工物にだいぶ慣れていますからね。違和感なく、堂々と歩き回るクマもいるかもしれない。海外でそういう映像、ありますよね。スーパーに入って来たクマが棚を全部倒して、むしゃむしゃ食べてしまうとか。
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