100メートル先にクマを発見…旭山動物園の統括園長は、その時どうしたか 『クマ撃ちの女』作者と語る「共生」を叫ぶ前にすべきこと

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もし街中でいきなりクマに出くわしたら?

――もし坂東さんが街中でいきなりクマに出くわしたら?

坂東:とりあえず、何しに来たのかなと観察します。堂々と来ているなら過剰に怖がる必要はないし、こっちに向かってズカズカ歩いて来ても、ようって感じで。

安島:坂東さんだからできることだと思います(笑)。

坂東:平然としているなら、たぶん通り過ぎてくれますよ。先日、知床に行ったときも、たまたまクマが出てきたんです。歩道に親子連れのシカがいて変だなと思ったら、100メートルほど離れた藪にクマがいて。子ジカを狙っていたのでしょうね。どうしようかなと思ったけど、すぐに離れないと危険な感じでもなかったので、しばらく待っていました。

――大事なのは、何か変だなと思ったら立ち止まって、様子を窺うことなんですね。

坂東:クマは特に、たくさんサインがあると思います。向こうにしても山にいたらさまざまな生き物と出会うでしょうし、いちいち反応していられないですよ。急に走るとか、声を出したりすると、クマとの間に関係性ができて逆に危ない。

安島:昨年、知床の羅臼岳では登山者がヒグマに襲われる事件もありました。北海道での登山の現状はどんな感じですか?

坂東:登山道を閉鎖した知床がどうするのかでしょうね。本来はクマ優先で、世界自然遺産でもあるのに、駆除までやってるわけで、それをどう解釈するのか。だったらどんな山でも、登山道に出てくるクマはすべて駆除すればいいともなりかねない(知床では現地確認や対策案の制定を経て、7月16日に閉鎖を解除)。

安島:人がわざわざクマのいるところに行っているだけですけどね。

坂東:かと言って、注意喚起だけでは何か起きたとき、具体的な対策をしていなかったと言われてしまう。登山道を閉鎖するのは簡単ですが、いつ頃、どういう理由付けで解除するのか。見極めは難しいし、そのまま人が来ないならクマは移動する理由もなく、同じ場所に住み続けます。山は重要な観光資源になっているところも多いので、経済的ダメージも大きい。山に近い場所でのお祭りやイベントも開催できなくなりましたよね。昼ならまだしも、夜ともなるとクマが近くまで来てもわかりませんし。夜、車で衝突した人に話を聞くと、黒い塊がいきなり来て、ガーンとぶつかったって。

――もし自動車に衝突したら、ヒグマは死ぬのですか?

坂東:すぐには死にませんけど、どこかダメージを受けているだろうし、餌をとれなくなれば生きていけないでしょう。自然の中で生きるとはそういうことですから。

安島:脂肪が厚くて頑丈だから、簡単には死なないでしょうね。

坂東:頭ですら筋肉の塊みたいなもので。人とは体のつくりが全然、違いますよ。

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