学校からプールが消え…“泳げない子ども”が増えている 「クロールで25m泳げず」小6が約半数という衝撃
コロナ禍による見過ごせない大幅な授業の削減
泳げる児童が激減すると同時に、わずか5メートルも泳げない児童が2倍から4倍に増えたことが分かる。
「ここまで子どもたちの泳ぐ力が低下した最大の理由は、2019年に始まったコロナ禍の影響です。2020年から2022年にかけての時期は、全国的に体育の授業が大幅に削減されました。学校に使用可能なプールはあっても、子どもたちが実際に泳ぐ機会が失われたのです。数年間に及ぶ水泳指導の空白期間が、こうした衝撃的な数字となって出てきました。もしかしたら、この状況が全国で起きている可能性は捨て切れません」
把握が難しい泳ぐ力の実態
こうしたデータの公表は自治体の判断に依拠しているという。
「ですから、そもそも調査していないところもあれば、実施しても結果を公表しないところもあると見られます。そのため、全国でどのくらい泳げない児童や生徒がいるのかを把握するのは難しい。自治体によっては、プールの維持管理が滞ったことで授業の機会が減り、それによって子どもたちの泳ぐ力が下がったという指摘や批判を嫌って、あえて公開しないところもあるようです。本来、子どもの能力に格差がついてはいけないのですが」
幸いなことに、コロナ禍が終息した後の2025年度には、クロール、平泳ぎとも25メートル以上泳ぐことができる児童の割合は、いずれも数%ながら回復している。
オーストラリアの危機感
子どもたちの泳ぐ力の低下に危機感を募らせているのは日本だけではない。そのひとつが南半球に位置するオーストラリアだ。
「オーストラリアは、オリンピックで5つの金メダルを手にしたイアン・ソープの母国として知られる“水泳王国”です。2025年にオーストラリアのライフセービング協会が行った調査によれば、小学6年生の46%が“救命スキル”を身につけていないことが分かりました。救命スキルとは“50メートルを泳ぎ切る”或いは“2分間水に浮く”という課題をこなす力です。また、高校1年生の39%がこの救命スキルの基準を満たせていないことも明らかにされました」
理由は明白だったという。
「小学校で必修科目だった水泳が選択科目とされ、子どもたちが水に親しむ機会が減ったためです。水泳を学ぶ子どもが減ったせいで、各学校における水泳大会も開催されなくなり、全国的に水泳のスキルが低下してしまった。7歳から12歳くらいまでの時期における水泳経験が大切なことは先にも触れましたが、彼らはちょうどその世代でコロナ禍に見舞われてしまいました。報告書には“10歳から14歳になった彼らの泳力が懸念される”との指摘もありました。日本も決して他人ごとではありません」
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