学校からプールが消え…“泳げない子ども”が増えている 「クロールで25m泳げず」小6が約半数という衝撃
中学校の5校に1校が水泳授業を実施していない
「人間が泳ぐ力を身につけるには、子どもの運動能力や神経系の発達が期待できる7歳から12歳での水泳経験がとくに重要とされています。スポーツ庁が示したデータからは、いまのところ小学校はあまり心配する必要はないように見えますが、中学校は5校に1校という割合で水泳の授業が行われていないことが見て取れます。これは由々しき事態と言えます。ちなみに施設や環境面の課題には、小中学校ともに“暑さへの対応”が最多で、次いで“学校プールへの老朽化対策”が挙げられています。指導面では“安全面の対応”や“熱中症対策への対応”と、教職員の負担が増えていることを感じさせる回答が多かったようです」
水泳実技を取りやめた自治体も
松井教授によれば、すでに来年度から水泳の実技授業を取りやめることを決めた自治体も出始めているという。
「茨城県の古河市は9つの中学校が座学による安全指導に切り替えるそうです。埼玉県の宮代町も町内全3か所の中学校で、滋賀県野洲市も中学校における実技を取りやめる予定だと聞いています」
スポーツ庁が明らかにしたデータの衝撃
先の「水泳議連」の設立に先立ち、スポーツ庁は今年4月に2024年度「体育・スポーツ施設現況調査結果の概要」を発表していた。そこには、全国の小中学校に設置されているプールの数が記載されている(※編集部注/カッコ内は2021年度)。
小学校/中学校
屋内プール 308(278)/172(151)
屋外プール 1万5150(1万5648)/5922(5959)
このデータからは小中学校ともに屋内プールの数は増えているものの、屋外プールはそれ以上に減っていることが分かる。3年の間に小学校は498校、中学校でも37校が備え付けの屋外プールを失っているのである。
失われる授業と子どもたちの泳力
「回数や内容に濃淡はあれど、数百の小学校、数十の中学校で水泳授業の機会が失われていることを示しています。プールがない小中学校は、近隣の学校や公営のプール、場合によっては民間施設を借りて授業を行っています。しかし、それでは限界があります。例えば、2023年度の埼玉県教育委員会による小学校児童『運動技能に関する調査結果』は衝撃的でした。2023年度の小学5年生と6年生のクロールや平泳ぎの技能が、2019年度からのわずか4年間で急激に低下したことが分かりました」
【クロールで25メートル以上泳げる児童の割合】
5年生男子/6年生男子
66.6%→47.1%/76.8%→54.3%
5年生女子/6年生女子
59.2%→41.2%/72.1%→46.2%
【平泳ぎで25メートル以上泳げる児童の割合】
5年生男子/6年生男子
50.6%→34.6%/59.5%→41.1%
5年生女子/6年生女子
43.4%→30.4%/55.1%→34.6%
では、泳げない児童はどれだけ増えたか。こちらは6年生のみが対象だ。
【クロールで5メートル以上泳げない児童の割合】
6年生男子/6年生女子
3.3%→11.1%/3.6%→14.3%
【平泳ぎで5メートル以上泳げない児童の割合】
6年生男子/6年生女子
17.2%→31.3%/19.4%→38.1%
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