妻の親友に「彼女はあなたを愛してない」「浮気もしてた」と囁かれ…鬱屈をぶつけた46歳夫が恐れる“問い詰めない妻”

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1ヶ月後、呼ばれて家に行くと…

「1ヶ月後、理彩に呼ばれて彼女の家にいくと、『外では話せないから』と入れてくれました。『あれはなかったことにしてほしい』と彼女に言われたんです。私は郁美をこれ以上、裏切れないって。そう言って苦悩の表情を浮かべる理彩が愛おしくて、そのまままた関係をもってしまった。そんなことが何度かありました。切れそうで切れない関係は、本当は切りたくない関係だったんだと思う」

 半年ほど、人目をしのいだ関係は続いた。1日おきに通った時期もある。理彩さんが「あなたみたいな人とつきあえば私ももっと幸せになれたのかな」と泣いた日もあった。ふたりとも、自分の心を満たすかのように相手に溺れ、濃厚なやりとりを「愛」に変換した。

 だがある日、理彩さんは部屋に入れてくれなかった。

「玄関ドアをはさんで、彼女の嗚咽が聞こえました。『やっぱりもう郁美を裏切れない』と。その後、かつて理彩が継父からのセクハラにあっていたとき、郁美が理彩の母にそれを話してくれたことに恩義を感じていると聞かされました。『さすがに母も怒って離婚した。郁美が話してくれなかったら、継父のセクハラはエスカレートして、おそらく私はレイプされていたと思う。だから郁美には恩がある』と。そう言われたらどうしようもない。理彩は僕より郁美を選んだということですから」

妻の凄みのある一言

 ある日、孝次さんが帰宅すると理彩さんがいた。郁美さんが寂しそうに「理彩が遠いところに行ってしまうんだって」とつぶやいた。遠いところってどこと言うと、理彩さんは「とりあえずアメリカかな」と笑った。

「理彩の叔母さんは結婚してアメリカに住んでいるそうで、まずは行って今後の身の振り方を考えたいと。『どうせひとり者だし、やり直すなら今が最後のチャンスだと思うの』と言っていました。『会社を辞めてまで行って何があるの? 人生なんて場所を変えれば変わるものじゃないでしょ』と相変わらず言葉は辛辣だったけど、郁美は涙目になっていました。寂しかったんでしょうね」

 理彩さんはこれから羽田空港近くのホテルに泊まると言うので、送っていこうかと言ったら郁美さんが「今、タクシーを呼んだ」と割って入った。玄関を出て理彩さんを見送りながら、郁美さんは低く「どうよ」と言った。

「ドキッとして郁美を見ると、何ごともなかったかのように普通の顔をして家に入って行ったんです。ものすごく怖かった」

 郁美さんは気づいていたのだろう。だが性格上、何ごとも大げさにはしないタイプ。だが知っていることは伝えたかったのではないか。それが「どうよ」という一言だったのだろう。

明らかに妻の精神状態は変わった

「ビビるとかえって変だから、なるべく普通に生活していますけど、ときどき視線を感じて顔を上げると、郁美がじっと見ている。目が合うとすっと逸らして何も言いません」

 表面上は普通の生活が続いている。理彩さんは来ないが、瑠璃子さん一家はときどきやってくる。他の友人が来ることもあり、一見、何も変化はない。

「だけど理彩がいなくなったことで、明らかに郁美の精神状態は変わりました。理彩は郁美の安定剤のような存在だったのかもしれません」

 自分から関係を正直に話して謝るべきだろうかと孝次さんは考えることもある。だが、今さら真実を打ち明けたところで郁美さんが救われるとも思えない。ここは「グッと踏みとどまるしかないような気がします」と、孝次さんは自分に言い聞かせるように言った。

 ***

 秘密を抱えたまま、何も問い詰めない妻の視線におびえる孝次さん。記事前編では、彼が郁美さんと出会い、その知性と大らかさにひかれて家庭を築くまでを紹介している。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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