【中学受験】「あと一歩の差は『小6の夏』に…」 早実不合格で第二志望の公立中高一貫校へ 親子が振り返る「夏に必要だった視点」

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 中学受験において一つの鬼門とされる8月に入った。この夏に何を優先し、どう過ごすべきなのかと頭を悩ませる保護者も少ないだろう。そんなご家庭のヒントになればと取材に応じたのは、この春に中学受験を終えた首都圏在住のとある父親。第一志望の早稲田実業にはあと一歩及ばず、中高一貫の公立中に娘を送り出した経験から、率直に「小6の夏」を振り返ってもらった。

あと一歩の差は「夏」にあった

 東京都心まで電車で1時間ほど。閑静な住宅街で、中高一貫の公立中学校にこの春進学した娘を玄関で見送るのは、父親の山下伸行さん(仮名)。

「娘がどうしても行きたかった早稲田実業には残念ながら不合格でしたが、結果的に第二志望として進学した今の学校が本人にとても合っているようで、毎日元気に通っています」

 そう晴れやかに語りながら、取材に応じた理由についてこう説明する。

「うちの場合、中学受験に挑戦すると決めたのも、塾選びも学校選びも、どれも本人の意思。私から『勉強しなさい』と言ったことは一度もありませんが、模試では早実に十分合格できる成績を維持していました。それでも、あと一歩届かなかった理由を考えてみると、そのポイントの一つは小6の夏にあったのかもしれない。夏をどう過ごすかの考え方の一つとして皆様の参考になればと思い、我が家のありのままをお話ししたいと思います」

「早実」を目指し小5から入塾

 山下家が中学受験への挑戦を意識したのは、小学4年生の頃だ。

「特段のきっかけがあったわけではありません。地域の公立中学の校舎は古く、また少しやんちゃな同級生と一緒に学ぶことへの不安もあった中、周囲で中学受験塾に入る子が増え始めたことから、娘としても少しずつ意識するようになったようです。私自身に中学受験の経験はありませんので、完全に本人の意思によるものですね」

 サッカー観戦が好きだったこともあり、いくつかの学校を見て回った結果、「スポーツの強豪校で、学校の雰囲気も気に入った」と、早稲田実業を目指すことになった。

 大手中学受験塾の門を叩いたのは小5の春。「小3くらいから塾に入る子も多いご時世ですから、やや出遅れた感はありましたね」と山下さんは振り返るが、入塾してからはメキメキと実力をつけ、ほどなくして校舎の最上位クラスへ。早実の合格も、現実的な目標になっていった。

「小3まで公文式をやっていたから、基礎学習は得意だったのかもしれません。はじめて本腰を入れて勉強に取り組んだ小5の夏休みあたりから、一気に成績が伸びました」

「小6の夏」をどう過ごしたか

 順調に合格への階段を上っているように見えるが、一つの転機となったのが、「小6の夏」だった。

 まずは山下家の夏の過ごし方を振り返ってもらおう。

「小5のとき以上に、小6の夏はとにかく勉強漬けの日々でした。基本的には塾の夏期講習が毎日あって、自習も含めて朝から晩まで塾にいる感じですね。得意科目だった社会と理科こそ『自分で勉強できるから』と授業を受けなかったものの、国語と算数だけでも毎日の授業時間はけっこう長いものだなと感じていました」

 学校が休みの期間だからこそ、保護者としての関与も自然と大きくなる。

「妻がお弁当作りの担当で、私は送り迎え担当。私の出社時間を遅らせるなどして、毎日車で送り迎えしていました。塾としては『勉強面は全て塾にお任せを』ということでしたし、また娘自身もあまり勉強のことに細かく口出しされたくはなさそうだったので、そのあたりは関与しすぎないように意識していました。ただそうなると、親として娘のためにできることは意外に限られるものだなと、改めて思ったところです」

はじめての挫折

 夏休み期間には、塾による志望校別の対策講座が開催されることもある。山下家も普段通う校舎から強く勧められ、別の校舎で開催される短期集中講座に参加することに。

「普段通う校舎では最上位クラスをキープしていましたし、それまでに受けていた模試でも早実が合格圏内とされる成績をとれていたので、親子共々ある程度の自信をもって臨んだつもりでした」

 しかし――。

「参加者が受験したテストの結果が、下から数える方が早いくらいの順位だったんです。早実志望者のためのテストでその結果ですから、本人としてはけっこうメンタルに来るものがあったようです」

 それまで順調だった受験生活で、はじめて味わう挫折だった。

「ただ幸いなことに、娘はそれで落ち込んでしまうわけではなく、悔しさを力に変えて秋以降の勉強には一層身が入っていたように思います。とにかく夏はひたすら勉強の日々でしたから、むしろそれを乗り越えたことが自信になった面もあったようです。娘の同級生の男の子も、それまではなかなか勉強習慣が身につかなかった一方、夏に頑張ったことをきっかけに秋以降も勉強に対する集中力を高く保てたと聞きました。夏に鍛えた集中力は、本番まで続く財産になると強く思いましたね」

“挫折”が良い方向に働いたのか、夏休み明け以降はまた好成績を維持することができたという。とある模試ではトップクラスの成績を獲得することもあった。

「自信」と「不安」で迎えた本番

 だが、冬に差し掛かると再び成績は失速し始めた。

「勉強をさぼったわけではありませんし、学習方針が間違っていたということでもないと思います。直前期に急成長を遂げるタイプの子も多い中、娘がやや伸び悩んでいたことが重なり、相対的に順位が下がったということだと思います」

 こうして「自信」と「不安」の入り混じる中で迎えた試験本番だった。

「『ダメだった』と泣きながら試験会場を出てきました。算数がうまくいかなかったようです。そして娘の感触の通り、不合格でした」

 直前の不調はあったとはいえ、それまでの模試の結果などに鑑みれば、決して合格可能性は低くはなかったはずである。周囲の追い上げもある中での“紙一重”の世界なのであろう。

〈「あと一歩の差」はどこにあったか、そこから逆算して「小6の夏」をどう過ごすべきだったと振り返るか、思わぬ方向へ拓けた道などについて、新潮QUEで詳述している〉

デイリー新潮編集部

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