トランプ大統領のゴリ押しをFIFAは受け入れたのか…行き過ぎたW杯の商業主義は“サッカーのルールすら変える”

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巨額ビジネスに舵を切ったFIFAの思惑

 それにしてもなぜ、インファンティーノ会長はことごとく、トランプ大統領との蜜月ぶりを感じさせる行動ばかりを重ねるのか。

 それは今回のW杯が、経済優先に舵を切ったインファンティーノ体制のFIFAにとって重要なジャンプアップの大会と認識しているからではないだろうか。

 トランプタワーに事務所を構えるほどにFIFAとトランプ大統領の距離は近い。トランプ大統領とFIFAは、巨額ビジネスにおける強力なビジネス・パートナーの関係を結んでいると理解した方がよさそうだ。

 多くの人が案外忘れがちだが、いまでもヨーロッパとアメリカのスポーツ文化には大きな違いがある。テニスやゴルフはどちらでも盛んで、世界統一は進んでいるが、それぞれの国を訪ねた時、多くの人は新聞のスポーツ面の構成があまりにも違うので驚かされただろう。

 アメリカの新聞では、当然のようにNFLや大学のアメフト、NBAや大学のバスケット、野球のMLBの野球などに紙面を大きく割いている。一方、ヨーロッパに行けば、サッカー、自転車ロードレース、クリケット、ポロ、ボートレースなどが紙面を賑わせている。

 さらに、スポーツとビジネスの関係や歴史もそれぞれ別の経緯をたどっている。端的に言うと、サッカー・ビジネスとアメリカのスポーツ・ビジネスには様々な習慣や常識の違いがあった。今回の北中米大会、アメリカでの開催はFIFAの増収、無限大の収益化を目指すインファンティーノ会長にとっては願ってもない好機。そのひとつがサッカー・ビジネスへのアメリカン・スポーツ・ビジネスの導入ではなかったか。

 48カ国に拡大し、試合数が増えた。当然、入場料収入も放映権料も増える。ヨーロッパ・サッカーではまだ普及が進んでいないがアメリカのプロスポーツ界では浸透している「ダイナミック・プライシング」も導入した。その結果、人気の試合の入場料は高騰した。従来なら、上昇したプレミア分はダフ屋の利益だったが、公然とダイナミック・プライシングを導入することで、FIFAがダフ屋の取り分をせしめるような仕組みが正当化された。

 前後半に3分ずつの給水タイムが導入されたのも、テレビのスポンサー対応とも言われる。競技の骨格さえ変える、それはアメリカのプロスポーツ界が長年にわたってファンに植え付けてきた習慣だ。

 決勝戦では大会史上初めてハーフタイムショーが実施される。NFLスーパーボウルのハーフタイムショーに慣れているアメリカ市民にとってそれは別に違和感のある催しではない。ヨーロッパの熱心なサッカー・ファンはどうだろう? ショー自体に抵抗はないかもしれないが、豪華ゲストの出演で「ルールに規定された15分のハーフタイムが25分程度に延びる可能性」が示唆されている。ここでも平気で「お金のため」「娯楽性の付加のため」競技に手を突っ込んでいるのだ。スポーツは商売に支配され、冒涜されている。これでいいのか? という叫びは、華やかな大会の演出、数々の感動シーン、満員のスタジアムの熱狂の渦に飲み込まれて届かないだろう。

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