当時の読売新聞社主の「ペートルに武道館は使わせない」発言から7時間のフライトをアテンドしたCAまで――週刊新潮が報じた60年前のビートルズ来日騒動記
「ピートルスというのは……」
そして、6月10日の読売新聞紙上に、「ザ・ビートルズ日本公演について」と題する、異例の「社告」が掲載される。
〈今回のザ・ビートルズ公演に際し各方面に多大な反響をおこし、また種々の報道などにより各位に対しご心配をかけましたが、公演は予定通り日本武道館において、6月30日、7月1日、2日の3日間行います。〉
このような社告が全国紙に載るとは――武道館使用に関して、いかに騒ぎが大きかったかを示しているといえよう。
〈このたびの公演に日本武道館を会場としたことについては、日本武道館本来の使命に反するとの正力日本武道館会長の意向もあり、会場を変更すべく数回にわたってビートルズ側と折衝、このためロンドンへ責任者(永島達司氏)を派遣、協議の結果、1万人以上の観客を収容する完備した屋内会場は他になく、(略)再三武道館側と折衝の結果、日本武道館の同意を得て決定したものです。〉
さらに社告の横には、日本武道館理事長・赤城宗徳(自民党政調会長)の署名入りで、下記のような《声明》なるものが、仰々しく掲載された。
〈このたび女王から勲章を受けられた英国の国家的音楽使節、ザ・ビートルズが読売新聞社の招きにより、初めて日本で公演することになりました。(略)しかし武道館側としては、武道振興の殿堂であり、青少年の心身錬成の道場でもあるので再三おことわりしましたが主催者側はもとより、英国側からも重ねて強い要請がありましたので、諸般の情勢を検討した結果、その使用を許可することにしました。〉
そこで週刊新潮は、今度は、この声明を発した赤城宗徳理事長にも話を聞きに行っている。
〈「僕もペートルズなんてのは知らんから、そりゃ何だと聞いたら、英国から勲章もらった歌手だっていうんだね。僕は、それじゃ芸術家じゃないか、といったんだがね。(略)ペートルズっていうのは、若い娘が騒いでたいへんだっていうことだがね。気絶するのもいるって? 気絶するほど感激するっていうのは、芸術として最高じゃないか」〉
さらに、武道館の木村篤太郎副会長(元参議院議員)にも話を聞きにいった。すると、驚くべき“上から目線”で……
〈「ピートルスというのは、男が4人おるそうだが、とにかく、何者かわからんが、こいつをひとつ、日章旗のもとで試験的にやらせてみよう、ということだな。(略)音楽というのは、静かに聞くもんで、泣いたりわめいたりバカ騒ぎをするもんじゃない、ということを教えるんだな。開演の前にワシが説教してやったら、静かに聞くかもしれんね。それができんヤツは、たたき直さなきゃいかん。どうしてもおさまらんようなら、ホースで水をかけて冷やしてやればいいよ」〉
というわけで、おそらく、あまりの世間の反響の大きさに、大御所たちも折れざるを得なかったという感じだ。そして正力会長の“最後っ屁”を。
〈「武道館を使わせる。ただし、声明を出して、武道館の精神を明確にする。ま、こうして、ああいう社告を出したわけだが、両方(読売も武道館も)立場が立って、円満に解決したわけだ」〉
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