自殺志願者2名を絞殺、バラバラにして頭蓋骨を部屋に…「殺害・解体欲求を満たすため」のさいたま「承諾殺人」 それでも求刑は「懲役13年」で懸念される「再犯の可能性」

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変わり果てた姿で

 帰宅しないAさんを案じ、家族は警察に駆け込んだものの、当時の警察官からは「成人女性ですから、一般的な家出でしょう。自殺ならすぐに見つけてもらえる場所を選ぶから、遠くに行きませんよ。一週間もしたら帰って来ますよ」と取り合ってもらえず、家出人として処理されたという。

「絶望に打ちひしがれ、家族みんなで泣きました。何も解決しないまま、涙が止まらず、やっとの思いで作った晩御飯はカレーでした。あの日の記憶は今もモノクロのままなんです(中略)ときどき空を眺め、この下できっと娘も生活してるだろう、生きててほしい、そしてある日突然帰ってくる、と思っていました」

 しかし、2025年6月2日、夫からの電話でこう告げられる。

“落ち着いて聞いてほしい。大宮署から電話があった。娘の写真を探しといて。なるべく歯が見えるもの。それと臍の緒”

 DNA鑑定の結果、齋藤被告の自宅の棚から発見された骨と一致した。7年ぶりに家族のもとへ帰ってきたAさんは、頭蓋骨に金具が装着され、背骨にはワイヤーが通された、変わり果てた姿だった。

「信じられない、これは現実なのかと目を疑いました。でも、一箇所だけ、幼い頃に転んでアスファルトに顔をぶつけたときの、あの見覚えのある歯並びの跡が、悲しいけれど残っていました。なぜこんな酷い姿に……娘の思いにつけ込んだ卑劣な行為です。赤の他人に看取ってほしくなかった。亡骸に指一本、触れてほしくなかった。かわいい目、鼻、口、癖のある髪の毛も残ってはいませんでした。もう娘を抱きしめることはできません」

「被害者の強い要望」

 母親は、被告人質問で「後悔していない」「罪悪感がわからない」と語っていた齋藤被告に対し、「自分が人助けをしたとでも、善人だとでも思っているのでしょうか。それは間違いです!」とひときわきっぱりとした口調で述べ「一生をかけて償ってほしい」と陳述を締め括った。

 対する弁護側は最終弁論において、被告が幼少期から深刻な殺人衝動に苛まれ、自らも苦しんでいた背景を説明。そのうえで、被害者たちにはいずれも強い希死念慮があり、被告が強引に殺害したわけではなく、あくまで「被害者側の自発的な強い要望」に沿う形で翻意も確認しながら実行した「承諾殺人」であるとして、減軽を求めていた。

 自身の欲求を満たすために「同意があった」という既成事実を作り上げ、殺害を実行した被告に対する判決は7月17日に言い渡される。

高橋ユキ(たかはし・ゆき)
ノンフィクションライター。福岡県出身。2006年『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』でデビュー。裁判傍聴を中心に事件記事を執筆。著書に『木嶋佳苗劇場』(共著)、『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』、『逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白』など。

デイリー新潮編集部

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