「色紙を30枚描いてくれないか」中国人の画商が提示した“驚きの金額”…日本の人気イラストレーターが狙われる理由とは

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 ライトノベルなどの挿絵を描いてきた人気イラストレーターH氏のもとに、今年3月、海外からメールが届いた。

「あなたが描いた絵は素晴らしい」
「色紙を30枚描いてくれないか。あなたが関わった作品のキャラクターでいい」
「契約金を支払うので、これからは当社とだけ仕事をしてほしい」

 メールの送り主は中国人の画商であり、「航空券を送るから、うちの事務所まで来てくれないか」というコメントも添えられていたという。そして、ギャラとして提示されたのは“驚くべき金額”だった。

「金額はここでは言えませんが……、日本の出版社が私に払ってくれた原稿料よりも、はるかに高かった。正直言って驚きましたよ。あまりに手厚い待遇を提示され、いくらなんでも嘘だろうと思ったのですが、メールの送り主が日本に来るというので会うことになりました。当初は“詐欺ではないか”、“結局は買い叩かれるかも”などと心配していたのですが、実際に話を聞いたところ、向こう側の姿勢に感銘を受けまして。いまは交渉を進めている最中です」

 現在、日本のイラストレーターに、海外の画商やコレクターが水面下で接触するケースが相次いでいるといわれる。熱視線が送られている背景には、なにがあるのだろうか。【取材・文=山内貴範】

絵を買ってくれたのが大企業の役員

 日本のアニメ・漫画が世界を席巻している。もともとコアな愛好家たちの間では、日本のコンテンツの人気は高かったが、2020年に起こったコロナ騒動による巣ごもり需要でNetflixなどの契約者数が急増し、世界中に日本のアニメ作品のファンも爆発的な広がりを見せた。

 そんななか、美術品のコレクターや富裕層が目を付けたのが、日本の漫画家、イラストレーター、アニメーターの「原画」、「色紙」であった。実際、世界のコレクターに影響力をもつ「まんだらけオークション」では漫画家・イラストレーターの原画、色紙の高騰が起こっており、数十万円、数百万円規模の高額落札が相次いでいるという。

 H氏が挿絵を描いた作品も海外にファンが多く、今回の契約の話も、それがきっかけで声がかかったという。

「私は、2000年代にデビューしたこともあって、仕事はすべてデジタルでやってきましたが、もともとはコピック(カラーマーカーのブランド)などを使ったアナログのイラストが得意だし、好きなんですよ。そこでイラストをSNSで公開するようになったんです。すると、海外のファンから“絵を売ってくれないか”という連絡が来るようになりました。

 あまりに熱心なファンがいたので断り切れず、こっそり絵を描いて販売したのです。想定以上の報酬をいただきました。そしたら、その人が中国の大手企業の役員で、彼が懇意の画商に私の絵を紹介したそうです。それがきっかけで、あっという間に今回の話へとつながったという感じです」

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