「色紙を30枚描いてくれないか」中国人の画商が提示した“驚きの金額”…日本の人気イラストレーターが狙われる理由とは

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史上もっともイラストが盛り上がっている

 デジタル技術の進化、生成AIの普及も、複製がきかないアナログ一点物のイラストに注目が集まるようになった要因である。

 一部の生成AIに反対するアマチュアの間には、「生成AIが文化を壊している」などと主張する人がいる。筆者が見る限り、実際は真逆だ。現在ほど、イラストが注目されている時代は他にないといえる。昔ながらの画材で絵を描けるイラストレーターの技術が“超絶技巧”として注目されるようになり、美術的価値を見出す人が増加しているためだ。アマチュアの多くは、こういった実態を知らないのである。

 ネットオークションで色紙を販売するイラストレーターは以前からいたが、最近はその数が増加したように思われる。1枚あたり5万円前後での落札は当たり前で、なかには数十万円という価格がつくものまである。落札者のなかには海外のコレクターも少なくないようだ。

 同人誌即売会やイベントで依頼を有償で受け、ファンに直接販売するイラストレーターもいる。こうしたスタイルは、昔ながらの画家の絵の販売方法そのものであり、いわば原点に回帰しているといえるだろう。

イラストレーター困窮の原因は雑誌の休刊

 イラストレーターがファンに向けて作品を直接販売する動きは、今後、加速していくのではないかと思われる。それは2010年代から現在にかけて、インターネットに押されて国内の雑誌が次々に休刊に追い込まれた結果、出版社からの依頼が激減し、困窮しているイラストレーターが少なくないためだ。

 生成AIがイラストレーターの仕事を奪うという議論があるが、いまのところそうした例はほぼない。AIよりも出版不況とネットの普及が与えたダメージのほうが大きく、2020年代には既にイラストレーターの仕事は頭打ちになっていたといえる。前出のイラストレーターH氏もそれを実感しているといい、このように話す。

「私は2000年代にライトノベルの仕事を手掛けてきましたが、それらの雑誌はほとんどが休刊になってしまった。懇意にしていたライトノベルやゲームの雑誌もなくなって、商業用イラストの仕事は以前と比べたらほぼ無いに等しいんですよ。おそらく、同時期にデビューした作家の多くは仕事がないはず。かつてのネームバリューのおかげで、同人誌が売れるので生計を立てられているケースもあると思いますが、それでもカツカツでしょう。

 私も同人誌即売会で本を売って収入を得ていましたが、コロナ禍では即売会も少なくなり、生活がかなり苦しくなった。悩んでいたとき、海外から声がかかったのです。中国の方は日本のファンよりも熱量があるし、お金をしっかり払ってくれる。今回の契約の話も、またとない申し出だと思います。仮に交渉がうまく行かなくても、個人的には海外に向けて絵を売っていこうと考えています」

 こう話すH氏はとても前向きで、「とにかく絵を褒めてくれる人がいて、買ってくれる人がいる。それだけで本当にうれしいですよ」と笑顔だった。

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