【旭川殺人事件に懲役27年】 「1人殺しただけでは無期懲役にはできない」という慣例に検察は立ち向かえるのか

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肩甲骨を押したと認定しないことにした

「ただ、今回の求刑は検察なりに空気を読んだ結果でしょう。もともと特捜部の捜査に顕著なように、検察には世間の空気を読む傾向がありますから」(同)

 内田被告は殺人罪・不同意わいせつ致死罪・監禁罪の3罪で起訴されている。刑法の細かな説明は省くが、この3罪の組み合わせで共犯者とのバランスを取った有期懲役の上限めいっぱいとなるのが27年。つまり検察としては可能な範囲で最も重い求刑をしたというわけだ。しかしそれでは世論は収まらなかった。

 過去、求刑を上回る判決が下されたこともあるが――。

「たしかにそうしたケースも実際にありますが、今回の場合はその可能性は低いと言われていました。懲役27年は想定通りの判決でした。注目すべきは、22日の判決では“内田被告が肩甲骨を押した”と認定しないことにした、しかしそれを減免の理由とはしなかった点でしょう」(同)

検察内でどのような議論が

 判決では、「被害者は『死ね』『落ちろ』などと繰り返し怒鳴られ、被告の命令に応じて橋から落ちる以外の行為を選択できない精神状態に陥っていたと認められる。被告の言動は被害者が誤って落下したか、みずから落下したかのいずれであっても、殺人の実行行為にあたる」と指摘した。要するに実際に押したか押していないかと関係なく、実質的に殺人を行った事実は揺るがないという判断である。

 つまり内田被告の主張に関しては裁判所も一切認めなかったことになる。こうなるとやはり気になるのは、もっと重い罪に問うことは本当に不可能だったのかという点だ。「一人殺したくらいでは無期懲役や死刑にはならない」というのは、司法の世界では常識であっても、一般社会では必ずしも容認できるものではないだろう。少なくとも刑法にそのような「相場」が明記されているわけではない。

 今回、検察当局で実際にはどのような議論が出ていたのだろうか。

「検察内でも当然、議論はあったでしょう。無期懲役の求刑でも良かったと思いますし、実際にそのようなことも話し合われたようです」

 と、あるヤメ検弁護士。

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