「松屋」が「松屋銀座」で売るプレミアム牛めし1390円 ライバルは成城石井か、吉野家か…意外な“本命”とは
催事で「過去最高売上」を記録していた
そもそも松屋銀座での常設化には伏線があった。
「松屋フーズとのコラボ構想は2019年から練られていましたが、コロナ禍の影響で一度断念されました。それが昨年、松屋銀座の開店100周年企画として食品催事に期間限定で実現すると大反響。食品催事における過去最高の売上を記録しました」
とは、松屋銀座担当バイヤー。松屋銀座に「初めて足を踏み入れた」という声も少なくなかったということで新規顧客の獲得の成果もあったそう。その実績を受け、約1年後の今回、満を持して初の常設店として実現した流れである。
百貨店の催事は本来、本格展開の前に反応を見る「テスト販売の場」だ。そこで数字を出してから常設に格上げするのは、リスクを抑えた手堅い意思決定といえる。
競合はもう「牛丼」ではない
ここで注目したいのは、松屋PREMIUMの競合が牛丼チェーンではないという点だ。
デパ地下に並んだ瞬間、比較対象は吉野家でもすき家でもなくなる。成城石井の惣菜や有名店の弁当、高級スーパーの中食商品と同じ棚で評価されることになる。つまり勝負しているのは「牛丼として高いか安いか」ではなく、「1400円前後で買えるご褒美メシとして魅力があるかどうか」だ。近年、小売業界では“プチ贅沢消費”が定着している。物価高で節約意識が高まる一方で「毎日は無理でも、たまには良いものを食べたい」という需要は根強い。松屋PREMIUMはまさにその心理を狙った商品設計といえるだろう。
実際、大手牛丼チェーンの百貨店進出はきわめて少ない。すき家が2016年に百貨店へ持ち帰り店を出した例があるが、すでに閉店している。すき家・なか卯は現在この領域に常設店を持たず、松屋フーズの本格参入は実質的に新しい挑戦といえる。
興味深いのは、今回の挑戦を支えるのが、実は平成のデフレ時代に磨き上げられた仕組みだということだ。牛丼チェーンは長年「いかに安く、均質な商品を大量に提供するか」を追求してきた。そのためにサプライチェーンを整備し、店舗オペレーションを徹底的に効率化してきたのである。そのノウハウが今回、高価格帯商品に活用されている。安売り競争で鍛えた効率性が、高品質商品の安定供給を支えるというのは日本の外食産業らしい、面白い逆転現象だ。
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