なぜ“天皇陛下の訪韓”は実現しないのか…外務省に宮内庁、官邸の意向も絡む「皇室外交」の知られざる実態

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天皇家の課題は訪韓

 上皇陛下による訪韓は実現していないが、当時から外務省が天皇の訪中と並行して訪韓を模索してきた歴史的事実が窺える。また2005年1月には、日本経済新聞が皇太子夫妻(現在の天皇皇后両陛下)の韓国訪問が日本政府内で検討されていると報道している。訪問時期を「秋が有力」と具体的に示した上で「過去の歴史問題に対する謝罪発言も検討」とした。

 これも結果的に実現には至っていないが、外務省サイドが日韓国交正常化40周年を契機に「けじめ」を計画していた様子が見て取れる。さらには2015年3月、外務省の川村泰久外務報道官が記者会見で、4月に韓国・大邱で開かれた「第7回世界水フォーラム」について、主催者側から皇太子(同天皇陛下)に招待があったものの、日程の都合で出席を見合わせたことを明らかにしている。

 陛下は当時、国連の「水と衛生に関する諮問委員会」名誉総裁を務め、2003年と06年、09年の大会に出席していたものの、やはり訪韓は実現に至らなかった。しかし、外務省が天皇陛下の訪韓を中長期的には実現させる方向で地ならしを進めていることは間違いない。

「ですが、保守を打ち出す高市総理の政権下で歴史問題や領土問題に直結しかねない韓国への『けじめ』は不可能でしょう」(前出・関係者)

 では対米、対中・韓に続く課題であるEUとの連携、そしてブリックスとの経済協力に、皇室外交は今後どう影響するのだろうか(後編に続く)。

【後編は「天皇皇后両陛下『オランダ・ベルギー歴訪』に秘められた“2つの重要な意義” 重要性が増す“皇室外交”のいま」】

朝霞保人(あさか・やすひと)
皇室ジャーナリスト。紙媒体やWEBでロイヤルファミリーの記事などを執筆する。

デイリー新潮編集部

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