「報道カメラマン」「山岳救助隊」を経て「トレイルランニング」のトップ選手に 「秋山穂乃果」が語る過酷なレース事情「大事なのは命が一番ということ」
恥ずかしさをばねに順位を上げる
――秋山さんが初めて大会に出場したのは、2019年に開催された「2019 World Championships」です。結果は女子40位でした。
秋山:警察学校に在籍していたときに出場した大会です。当時はプロになりたいという意識はなく、純粋に海外の山を走りたいという思いがありました。なぜ、この大会に出場したのかというと、警察官の立場で出られるものがこれしかなかったためです。
なかなか、警察官は長期休暇が取れないのですが、世界選手権であれば取得しやすいんですよ。だからこそ、いきなり世界の大会に出ることになりました。大会が終わると、組織の中で順位を常に聞かれました。さすがに40位では上司に報告するのが恥ずかしかったので、頑張っていくモチベーションに繋がったのではないかと思います。
――練習はどのように行っていましたか。
秋山:交番勤務が終わった後や休日に近くの山を走りながら訓練し、スキマ時間も有効活用しました。例えば、デスクワークのときは職場が10階だったので、トイレ休憩の時は敢えて1階まで行き、階段を上り下りしましたね。
実は、プロの指導者についていただいたのは、昨年12月なんです。今は世界的にレベルが上がっているので、指導者のアドバイスを受けつつ科学的にトレーニングをしないと、世界には行けません。当時は、教本やビデオもほとんどありませんでしたから、練習のメニューを自分で考えるしかなかったのです。
――そうした試行錯誤が功を奏したのか、その後はめきめきと成績が上がっています。2022年に開催された「2021 World Mountain and Trail Running Championships」では、ロング女子14位と好成績を収めています。
秋山:世界選手権の枠組みができた最初の大会だったので、選手もみんな力が入っていました。タイで行われた猛暑の中でのレースでしたが、満足のいく結果が出せたのは良かったです。ただ、とても嬉しかった反面、もうちょっと上までいけたんじゃないかなとも思いました。
――トレイルランナーの経歴を見ると、陸上選手だったり、登山家だったりと、異なる経歴をもつ選手がいるのが興味深いです。それゆえ、選手によって得意不得意のコースが分かれるのではと思います。秋山さんはどんなコースが得意なのでしょうか。
秋山:選手にとっても得意不得意があると思います。ロード出身のランナーはテクニカルじゃないコースが好きな傾向があったり、山好きは岩場が得意だったりと、様々です。私が好きなのは山登りが続くコースで、特に岩場が得意ですが、逆にダウンヒルや平地は苦手ですね。
私はしっかりと累積標高がある、上りがきついコースでライバルに差をつけています。ただ、海外の大きな大会はコースの内容を選べませんから、あらゆるコースに対応できるよう、強化していく必要があります。
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