「報道カメラマン」「山岳救助隊」を経て「トレイルランニング」のトップ選手に 「秋山穂乃果」が語る過酷なレース事情「大事なのは命が一番ということ」
挑戦よりも安全を常に意識する
――それでも、山岳遭難救助隊の仕事から受けた影響は大きいのではないでしょうか。
秋山:ものすごく影響を受けました。挑戦するか、安全牌をとるかというバランスを重視するようになりましたね。基本的に、トレイルランナーは挑戦する性格の方が少なくありません。できるだけ荷物を軽量にして、体力ギリギリまで走ろうとするのです。
でも私は、自分が滑落したときを想像してしまいます。だから、重くなってもいいので安全に、そして危険を感じたら引き返そう、という気持ちがある。最悪の現場を何件も見てきたからこそ、感じることだと思います。
――実際のコースで、恐怖を感じることはありますか。
秋山:もちろん怖いですよ。スペインの大会で、鎖もない瓦礫場のコースを走る機会がありました。私は、そういったところで人が滑落した現場を見ているので、怖くて、試走のときは引き返してしまいました。
もし救助隊の時に行ったら、ロープを出せと言われるような現場です。そんなとき、いつも思い出すのは、滑落したときに救助隊の上司に怒られないか、ということですね。
走る前に自身の装備を考えるのも重要です。いわゆる必携品は決まっているのですが、何をプラスし、何を削るかは自分で考えるんですよ。標高の高いコースでは防寒着を持てば安心ですが、そのぶん重量があるので体に負荷がかかります。
一方で、防寒着を持参しなかった選手は低体温に陥ってしまうことがあるのです。なので、装備はかなり気を使って選びます。大事なことは命が一番であるということ。最低限の安全を守れているかと確認しながら、競技に取り組んでいます。
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