白内障手術から1年 「眼内レンズに濁りが…」 体験者が語る「後発白内障」という落とし穴と、術後の副作用
今はよくとも……
通常、私たちが視力について話すときは、裸眼の視力がもっぱらだ。だが、眼科医が話す視力は、矯正視力という意味なのだ。
裸眼の視力は状況によって変化するが、眼鏡などで矯正した視力はあまり変わらない。なので、裸眼の視力が悪くとも、矯正視力がよければ、単なる近視や乱視と判断できる。つまり、目の病気を疑う必要はなくなるので、眼科医は裸眼より、矯正視力を重視するのである。
そこで気付いたのは、眼精疲労の治療のために眼科に通い始めた60代半ばからずっと、私は自分の視力を誤解していたということだ。白内障手術前の視力は右が0.6、左が0.8と聞いていたが、これは矯正視力の数字だったのだ。
つまり、手術直後の1.2も矯正視力であり、それが0.9になったからといって、日常生活に支障がないのなら、特に治療の必要はない、というのが、医師の言わんとすることだった。
では、後発白内障の症状があるのに、放置しておくとどうなるのか。
「濁りがひどくなる人もいれば、あまり進行しない人もいます。定期的に検査を受けてください」
今はよくとも、のちのち治療が必要になる可能性は否定できないという含みのある返事だった。
「手術を担当した医者がヤブだったから」
そこで、後学のため、2年前にYAGレーザー後嚢切開術を受けた60代男性Aさんに話を聞いた。
「そもそも、俺が後発白内障になったのは、手術を担当した医者がヤブだったからだよ」
Aさんは医療従事者で、薬剤師の資格を持っている。
「手術で入れたレンズは保険適用の単焦点で、手元に焦点を合わせるものだった。最初は読書用の眼鏡が必要なくなって、こりゃあいいと喜んでいたんだけどね」
Aさんが目の違和感を覚えたのは、手術から半年たった頃だった。
「外出時にかけていた眼鏡が見えづらくなったので、検査に行ったら、(眼内)レンズの後ろが濁っているというんだ。後発白内障という合併症が出ていると」
Aさんが怒っているのは、水晶体上皮細胞が増殖していることが、合併症の原因と聞いたからだった。
「水晶体嚢がレンズを支えるために必要なことは知っている。だけど、嚢の中に残す上皮細胞を減らすとか、細胞が広がりにくい形のレンズを選ぶとか、合併症を起こさないようにする工夫はいくらでもあるんだ。結局、医者の見識、技術の問題が大きいんだよ」
上皮細胞の除去以外にも、水晶体を前嚢切開するときのデザイン、眼内レンズの挿入位置なども、合併症に影響しているのだが、Aさんにはすべて担当医の技量の問題に思えた。
彼は後発白内障の診断後、すぐに手術を申し込んだ。
「YAGレーザーは簡単な手術で、あっという間に終わると言われたけど、事前の検査がいろいろ必要で、それなりに時間がかかった」
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