頭蓋骨骨折、脳挫傷でほぼ即死…「6歳児誘拐犯」を“身代金受け渡し現場”で轢いた大型トラック、運転手が葬儀に駆けつけた理由

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どういう事情があろうと事故は事故

 Dさんによれば、事故当時の現場は見通しが悪かった。

「あの晩の現場の状況は、雨が降って非常に見通しが悪かったんです。一応、衝突直前には姿は見えましたが、だいたい3メートルか5メートル手前でヘッドライトの中に入ったときしか姿が確認できませんでした。一瞬の出来事でしたから、ほとんど何が起こったのか分からなかったんです」

 と、事故当時を振り返りつつ、

「でも、こっちは何もしてへんといえるような立場ではありません。相手の側にどういう事情があろうと、事故は事故で、人ひとり死んでるわけですから、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」

 と謙虚に頭を下げ、3月12日に行われたAの葬式にも、わざわざ瀬戸内海を渡って駆けつけたのだった。

「親御さんとも一応お会いしましたが、もう何も話すことはありませんでした。ただ申し訳ないという気持ちで頭を下げてきました」

(以上、「週刊新潮」1985年3月10日号掲載記事より)

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元気な笑顔を見せたCちゃん

 9日午後1時34分、Cちゃんは身代金の取引現場近くにある倉庫で見つかった。縛られていたが、パトロール中の警官たちが名前を聞くと、元気よく返事をしたという。両親とともに臨んだ同日の会見でもかわいい笑顔を見せ、「怖いおじさんではなかった」「ファミリーコンピューターがしたい」など、しっかりと質問に答えていた。

 その後の調べで、Cちゃん家族はAとまったく面識がないことが確定した。また、Aが作成していた犯行計画書も公開されている。3月27日、捜査本部は「被疑者死亡で不起訴処分が相当」との意見書を添えて、身代金目的誘拐などの容疑で送検。捜査は終了した。

 第1回【身代金の受け渡し場所に突然の大型トラック…「誘拐犯」として轢死した「ハニカミ屋の男」、元上司が語った“目に見える変化”とは】では、かつての上司が語ったAの素顔や、事件発生後の兵庫県警に発生した混乱を伝えている。

デイリー新潮編集部

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