広島カープ「羽月隆太郎被告」が契約解除に…原因となった「ゾンビたばこ」の正体を元マトリ部長が徹底解説 「SNSでは“Kペン”の隠語や“象とペン”のミックス絵文字を使って密売されている」

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(6)エトミデートの類似物質は出回っているのか

 いずれエトミデートの誘導体(兄弟物質と思ってもらえばいい)が出回り始めるはずだ。あえて挙げるなら鳥類用の麻酔「メトミデート(Metomidate)」は可能性が極めて高い。さらに中国などではケタミンの誘導体である「NENK(エチルケタミン)」や「2-FDCK(フルオロデスクロロケタミン)」などだろうか。また、ライオンやクマなど大型獣用の麻酔として海外で使用されている「チレタミン」が、犯罪組織によって電子タバコに混ぜられて“合法大麻”や“未規制ドラッグ”として密売されている。これはごく少量で命を落とす代物であり、PCPやフェンタニル並みに危険なドラッグと筆者は見ている。

 筆者が伝えたいのは「電子タバコで吸引するドラッグは極めて危険で、何が入っているか分らない」ということだ。日本国内でも電子タバコ用の「大麻リキッド」「THC類似物リキッド」「覚醒剤リキッド」「ケタミンリキッド」、そして「エトミデートリキッド」が出回っている。今後、種類はもっと増えて行くだろう。電子タバコの機器自体も、加熱すると金属が溶け出して肺疾患を引き起こす粗悪品もあり、欧米では多様な規制が進められている。カートリッジの中身が分からないまま、「電子タバコを吸う」ことは極めて危険だ。この点を理解してほしい。

瀬戸晴海(せと はるうみ)
元厚生労働省麻薬取締部部長。1956年、福岡県生まれ。明治薬科大学薬学部卒。80年に厚生省麻薬取締官事務所(当時)に採用。九州部長などを歴任し、2014年に関東信越厚生局麻薬取締部部長に就任。18年3月に退官。現在は、国際麻薬情報フォーラムで薬物問題の調査研究に従事している。著書に『マトリ 厚生労働省麻薬取締官』、『スマホで薬物を買う子どもたち』(ともに新潮新書)、『ナルコスの戦後史 ドラッグが繋ぐ金と暴力の世界地図』(講談社+α新書)など。

デイリー新潮編集部

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