広島カープ「羽月隆太郎被告」が契約解除に…原因となった「ゾンビたばこ」の正体を元マトリ部長が徹底解説 「SNSでは“Kペン”の隠語や“象とペン”のミックス絵文字を使って密売されている」
(3)不正に使用するときは電子タバコを使うのか
不正使用の場合、エトミデートが溶かされたリキッドをベイプ(VAPE)と呼ばれる電子タバコ機器で電気加熱し、成分をエアゾル化して吸引する。一方、加熱式タバコは煙草の葉そのものを電気加熱して、成分をエアゾル化させて吸引する機器のことを指す。基本的には同じ原理と言えるが、日本では電子タバコが雑貨扱いなのに対し、加熱式タバコはタバコ事業法の対象になっている。
(4)そもそも何の目的でゾンビたばこを吸うのか
他のドラッグと同様に好奇心や興味本位、仲間意識が使用のきっかけと言えよう。しかし、使用を繰り返すうち「酒に酔ったようなハッピーでフワフワとした高揚感」を求めるようになっていく。どういうわけか「集中力が増す」と口にする使用者もいた。吸うといきなり効き目が出るが、消失するのもあっという間だ。医療用でも、注射後30分で効果は減少するとされている。そのため、使用者は効き目の継続を求め、短時間に何度も吸引する。そして、これを繰り返すうちに早期に“依存”に陥ってしまう。つまり、かなり速いペースで負のスパイラルにハマるわけだ。未経験だったり、摂取量が多かったり、常習したりすると、先述したように痙攣や昏睡といった中毒症状を呈すことになる。永久神経障害や死に至ることも珍しくない。
(5)ゾンビたばこはどのように売られているのか
ゾンビたばこというスラングでは売られていない。沖縄で蔓延が始まった当初は「笑気麻酔」という俗称が使われていた。SNS上では<いま流行の笑気麻酔あります。那覇手押し、業販も応じます。詳しくはチャンネル(※テレグラムチャンネルのこと)まで>といったキャッチで配達密売されていた。
価格は電子タバコのカートリッジ1本が,2万~3万円だった。笑気麻酔は「笑気ガス」とも呼ばれるが、語源は歯科医療で使うことのある“笑気吸入鎮静法”だろう。低濃度の亜酸化窒素と酸素を患者の鼻から吸わせて、痛みを感じにくくする麻酔方法のことだ。
亜酸化窒素を吸入すると筋肉が緩み、笑ったような表情になることから“笑気”と通称されるようになったらしい。エトミデートと笑気は全く違う麻酔だが、吸うとすぐに効果が出て、消失するのも速いという類似点があることから、エトミデートを笑気麻酔と俗称するようになったのではと推測している。今では全国に拡散し、SNSでは「Kペン」「K-pods」「ケタペン」「ケミペン」などのスラングで密売されている。いま流行りの麻酔薬「ケタミン」やケミカル(化学物質)をもじったスラングと思われる。ペンは、大麻(THC)リキッドのスラングのひとつとして使われている“ペン(リキッド入り試験管orカートリッジの意味)”を真似ているのだろう。「K-pods」は大麻のスラング「ポッド(Pods)」とケタミンを合わせたもの。SNS上では絵文字も使われ、“象”と“ペン”を合体させてひとつの絵文字として使われる場合がある。これはケタミン絵文字の象と大麻リキッド絵文字のペンをミックスした造形絵文字と思われる。(SNS上の密売人はすぐにこのような隠語や絵文字を作りたがる。解読する捜査員はかなり大変だ)
最近の密売価格は、約0.8ミリリットル入りのカートリッジ1本が1万~1万5000円と下落傾向にある。つまり値下げできるほど密輸され、巷に溢れているわけだ。詳細は省くが密造地は中国の一部からタイなど東南アジアの一部と見て間違いない。
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