サバ3万匹にブタ19頭、路上を真っ赤に染めるほどの大量のトマト…高速道路の“落下物”を回収する「交通管理隊」命がけの仕事内容とは
命がけの回収作業
交通管理隊として働いていた経験のある男性は、落下物のなかでも上位を占める「布」のなかに、「大きな毛布」も含まれていると話す。
「毛布、落下物に結構多いんです。輸送の現場では、荷物と荷物の緩衝材としてよく使用されるようです。特に平ボディなどのようなトラックは、荷台が実質むき出しになっているので、しっかりと固定・収納していないと、ちょっとした振動や段差で荷台から飛び出てしまうことがあります」
毛布が高速道路上に落ちているリスクは、一般道のそれとは比べ物にならない。時速100kmにもなる速さで走っていると、落ちている布を視認できたころには避ける時間はほぼ残っていないうえ、風に舞ってフロントガラスに覆い被さろうものなら、その後ドライバーを待ち受ける運命は、誰もが容易に想像できるはずだ。
落下物が凶器になる――。
そのため、管理隊はできるだけ早く現場に到着し、落下物の回収作業に取り掛かる必要がある。時速100km。これはつまり、鉄の塊が1秒間に28メートルの猛スピードで走ってくることを意味する。そのような道路上で、管理隊の人たちは落下物をどう回収しているのか。
NEXCO中日本の担当者はこう答える。
「回収作業は、監視担当と作業担当の2名で行います。監視担当は旗を大きく振って、お客さまに道路上に落下物があり危険であるということをお知らせします。作業担当は通行車が途切れるのを見計らって、監視担当の合図で落下物に駆け寄り、手際よく回収します」
「交通管理隊が安全に作業を行ううえで大切なのは、通行車と向かい合って立つこと(通行車正対の原則)です。道路上での作業は危険を伴うので、常に安全に気を配り、迅速かつ的確に作業します」
しかし、回収物が「じっとしている」とは限らない。前出の交通管理隊経験者は、先の毛布を回収した際の経験をこう話す。
「高速道路は総じて風の影響を受けやすいんですが、橋の上やトンネルの出入口などは特に強い横風が吹くことがあります。毛布はこの風に吹かれると無造作に舞う。かつてトンネル入口付近で毛布の落下物を回収しに行った時は、毛布が強風に煽られ、なかなかキャッチできず焦りました」
落下物の回収は、まさに命がけの作業だ。
「旗を振っている隊員がいれば、そこで何かが起きている証です。隊員の指示に従って行動していただきますようお願いいたします」(NEXCO中日本の担当者)
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