サバ3万匹にブタ19頭、路上を真っ赤に染めるほどの大量のトマト…高速道路の“落下物”を回収する「交通管理隊」命がけの仕事内容とは
高速道路の「落下物」件数
国土交通省の資料によると、令和4年に全国の高速道路で発生した落下物処理件数は、合計30万9000件。一般道を含めば、その件数はより膨大になる。
冒頭に紹介したように、「落とした場所」によって、落下物の傾向や割合は変わってくるが、高速道路上における落下物はプラスチック・布・ビニール類が相対的に多く、次にロードキル(動物の死骸)、自動車部品類(タイヤ含む)、木材類と続く。
一般車では窓を開けていたり、クルマの部品が外れたりしない限り、クルマから何かを落とすことはあまりないだろう。道路上でモノを落とす車両で多いのは、やはり「トラック」だ。
上記で示した落下物で多いとされる「木材類」は、道路周辺に生えている木々が倒れたものではない。NEXCO中日本に話を聞いたところ、この木材類は、「角材」や「ベニヤ板」のことを指すという。どちらも製造、建設、運送業界の現場でよく使われる資材だ。
落下物による事故
以前、あるトラックドライバーから、こんなDMをいただいたことがある。
「先日、落下物が原因の事故に遭遇しました。おそらく重機輸送用の大型トレーラーから厘木(*)が落ちたと思われます。同乗していた新人と2人で事故に遭ったライダーさんの救助と交通整理を行いました。その後、連れのライダーさんから被害者の方は命に別条はなかったものの、肺と脊椎を損傷する重傷だったとの報告をいただきました。我々の同業者の不手際で落とした、たった一本の厘木が、20歳の若者の命を奪うところでした」
(*)厘木:材木や重量物を積む際、地面に直に置いて汚れや傷の原因にならないように使われる枕木
全日本トラック協会の資料によると、令和4年、小型~大型トラックとトレーラーの車両総数は、営業・自家用車合わせると全国で約8250万台(軽貨物は除く)にも及ぶ。
2024年4月1日にはトラックドライバーに対する働き方改革が施行され、彼らの労働環境は(やり方が合っているかはともかく)改善される方向へ動き出している。
そのため、これまで高速代節約のために数百キロの長距離輸送でも下道(一般道)を走っていたトラックが、時間短縮のために高速に乗るようになった。
国土交通省の資料によると、高速道路の大型・中型・特大車の利用台数は、今や全国で1日約100万台以上にもなる。
さらに2024年4月から始まったのが、中大型車の法定速度の引き上げだ。これまで時速80キロだった法定速度は、90キロに引き上げられた。
つまり今、貨物車両は全体的な「高速度化」が顕著なのである。
先述通り、トラックの落下物は高速道路に限ったことではないが、住宅地に近い生活道路よりも速度が出る幹線道路、とりわけ100km近くでクルマが走る高速道路は落下物が「凶器」になりやすい。今後高速道路上では、先のような「落下物による事故」が増える可能性が十分に考えられるのだ。
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