中学受験塾でも増える“外国人” 「日本なら中国の半分の勉強で一流大へ」 5~10年で生徒の半数に

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 今年もようやく、東京や大阪でヒートアップする中学受験戦線が幕を閉じた。

 進学塾の先生たちが近年の受験の変化として挙げることの一つが、中国をはじめとした海外にルーツを持つ子供たちの受験者の増加だ。これまでも増加傾向にあったが、ここにきて特に顕著になっている。

 近年、有名進学塾で外国人ルーツの子が増えていることは度々報じられてきた。東京を中心に200以上の教室を持つ進学塾「ena」の一部の教室では、生徒の4割を中国人が占め、中国人職員の採用にも積極的だと伝えられている。

 私が原作を務めるコミック『教育虐待 ―子供を壊す「教育熱心」な親たち』(新潮社)で扱った「中国人爆入学」のエピソードは大きな話題となって、驚異的な数のコメントが寄せられた。

 この背景には、国境を越えて起きている「教育虐待」が一因となっている。

「日本では余裕を持って受験できる」

 近年、起きている中学受験ブームは異様ともいえる熱気を帯びている。

 今の親世代が子供だった頃はクラスの1割くらいの勉強好きな子がするだけだったが、今や東京23区では小学校のクラスの半数以上、学校によっては7~8割が中学受験をしているのだ。小学1年生から6年間進学塾に通う子もザラだ。

 企業の採用試験で学歴が重視されなくなっているのに反して、こうした現象が起こる背景には複数の要因がある。

 共働きのパワーカップルの増加、少子化の長期にわたって月謝を取れる小学生にターゲットを絞る受験産業、SNSによって飛び交う過熱した受験情報、格差拡大による将来への不安……。これらの詳細についてはコミック『教育虐待 ―子供を壊す「教育熱心」な親たち』に詳しく書いているので参照していただきたい。

 ここ数年、そうした中で増えているのが中国人を筆頭とした外国ルーツの子供たちの増加だ。背景にあるのが、中国で起きている行き過ぎた受験競争だ。

 中国は科挙制度の歴史もあって昔から高学歴志向が強い上に、格差の拡大が著しい。にもかかわらず、人口の割に大学の選択肢が少ないため、狭き門に殺到する事態がつづいた。

 そのため、受験熱が極限まで高まり、過剰な教育のせいで心を病んだり、自殺に追い込まれたりする子が出てくるようになった。現地のメディアが警鐘を鳴らしても、なかなかおさまらないのが現状だ。

 一部の中国人は、こうした現状を回避すべく、海外へ移住するようになった。その選択肢の一つが、治安が良く物価も安い日本だったのである。

 コミックの取材で会った中国人の家族は次のように話していた。

「中国では朝から晩まで勉強漬けで、都市部では子供が外遊びをするような光景を見ることすら稀です。それに比べると、日本では水泳やピアノを習わせながら、余裕を持って受験ができる。中国に比べれば半分くらいの勉強時間で一流大学へ進学できるのです」

 これは「教育移住」とも呼ばれている。たとえば受験が盛んな東京都文京区の小学校では、2019年から5年で外国国籍の子供が2・4倍にも増えた。

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