「高市さんは何もやっていないから支持率が高いだけ」 専門家が数々の問題発言を指摘 「円安でホクホク」「食料自給率100%を目指す」

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【前後編の後編/前編からの続き】

 衆院選で歴史的な「自民爆勝ち」を果たした高市早苗首相(64)は、報道各社のインタビューに神妙な面持ちで応じていた。本来は笑いが止まらないところ、今後の日本が直面する難題を覚悟してのことか。国の命運を握る彼女に待ち受ける「過酷な現実」を検証してみよう。

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 前編では、高市首相の消費減税に対するスタンスや、実際に減税を行うつもりがあるのかなどについて報じた。

 高市政権で経済財政諮問会議の民間議員に選ばれた第一生命経済研究所の首席エコノミスト・永濱利廣氏は、消費減税の「三つのハードル」を指摘する。

「一つ目は、赤字国債に依存しない明確な財源を示すことです。高市総理はすでに『赤字国債には頼らない』と明言していますので、社会保障費を削減せずに消費減税を行うためには、赤字国債に頼らない財源を作り出さないといけない。赤字国債に頼ると、円安、金利上昇が進む可能性があり、減税の効果がそがれてしまう恐れがあります。円安になると物価は上がり、金融市場や景気に影響が出る可能性があります」

 二つ目は「外食産業への影響」だという。

「食料品に含まれるお弁当や総菜が消費税0%になる場合、価格差から外食需要が減る可能性があります。外食産業へのダメージを減らすためにもなにがしかの工夫が必要でしょう」(同)

元の税率に戻せる?

 さらなる難関は三つ目で、岸田政権から石破政権まで自民党税務調査会でインナー(幹部)を務めていた森山裕・前幹事長(80)の懸念とも重なる。つまりは自民党の公約どおり「2年後に元の税率に戻せるのか」という点だ。

「2028年には参院選が控えており、税率を戻すということは増税に等しい。高市総理は『消費減税』を『給付付き税額控除』導入までの経過措置と位置付けていますから、うまく橋渡しができる仕組みを構築できるのなら、減税に踏み切れると思います」

「給付付き税額控除」は、所得税の税額控除に加えて中低所得者には現金を給付する制度だ。高所得者を含む消費者全員に恩恵がある消費減税と比較して、貧困にあえぐ中低所得者層に手厚い政策とされる。

 実は選挙前から高市首相は、野党と制度導入に向けた「国民会議」を立ち上げるとしたが、選挙で棚上げになった経緯があるのだ。

 元財務官僚で東京財団シニア政策オフィサーの森信茂樹氏が指摘するには、

「野党が掲げてきた“財政ポピュリズム”にぐっと耐えることができず、高市さんも選挙対策として消費減税を言い出してしまったように見えます。自民党の公約にある消費減税では年間5兆円の財源が必要。その穴埋めには、企業や個人に対して特例的に減税する租税特別措置、補助金の見直しなどを充てるとしていますが、それだけでは足りないはずです」

 高市氏は消費減税目的での国債は発行しないと言った以上、財源をどうするのかという課題が残る。

「公約にも“検討を加速する”とあるので、検討した結果、やはり財源の問題があるということで、給付付き税額控除を前倒しで行うというシナリオもあり得ます。その際、まずは数千億円の規模で始めて徐々に本格的な制度にしていけばよいので、消費減税よりよほど効果的な政策だと思います」(同)

 選挙で有権者の歓心を買おうと口走ってしまったとしたら、その代償は大きいと言わざるを得ない。

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