「高市さんは逃げ道を作った」 消費減税を本気で実現するつもりはない? 専門家は「やる必要性は薄らいでいる」

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【全2回(前編/後編)の前編】

 衆院選で歴史的な「自民爆勝ち」を果たした高市早苗首相(64)は、報道各社のインタビューに神妙な面持ちで応じていた。本来は笑いが止まらないところ、今後の日本が直面する難題を覚悟してのことか。国の命運を握る彼女に待ち受ける「過酷な現実」を検証してみよう。

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「高市さんの笑顔を見るのが好き」――。今回の衆議院選挙で、自民党に一票を投じたある有権者の言葉だ。

 働いて働いて働いても、暗い顔一つ見せず仕事に励む。そんな印象を高市首相に持つ有権者が、自民に史上最多の議席を与えたのか。

 その議席数とは316議席。これは衆院の議員定数の3分の2に当たる310議席を上回り、1955年の自民党結党以来初めて。また、単独政党としても戦後初の偉業達成となった。仮に与党が提出する法案が参院で否決されても、衆院で再可決が可能。すべての常任委員会の委員長ポストも独占できるなど、安定した国会運営が約束されたのである。

 国会には「高市チルドレン」と呼ばれるであろう1年生議員が大挙してくることで、高市氏自身の党内支持基盤も数的に強化。大ばくちに勝った彼女は、厳冬をよそにわが世の春を謳歌(おうか)しているかに見える。

本気で実現するつもりはあるのか

 だが、歴史的大勝を収めて余裕綽々のはずの高市氏が、いつもの笑顔を封印して、怒りの感情を露(あらわ)にする場面があった。

 今月8日、衆院選の開票に合わせて生放送されたTBS系の選挙特番で、スペシャルキャスターを務めたお笑いコンビ「爆笑問題」の太田光(60)は、「消費減税できなかったら、どのような形で責任を取るのか」との趣旨で現下の首相をただした。

 すると高市氏は、首をかしげて語気を強めながら、

「公約に掲げたんだから、やるんですよ。そんな暗い話はしないでください! なんか意地悪やなぁ」

 などと、関西弁を交えて気色ばんだのだった。

 字面だけ見れば冗談めかして答えたようにも思えるが、中継画面に映った高市氏の表情は余裕がなく、不快感に満ちていたのである。

 人間は痛いところを突かれると、自らの感情を隠せなくなるという。太田の問いはSNS上でも賛否両論を招いたが、本はといえば「消費減税」は選挙前、衆院解散表明の記者会見で高市氏が「悲願」だとして掲げた公約だ。

 ところが、いざ選挙が始まると、高市氏は街頭演説などで積極的に口にすることはなくなったのだ。

 政治部デスクの解説。

「もともと消費減税は、野党最大会派の中道改革連合を結成した公明党や立憲民主党など反自民勢力が目玉にしてきた公約です。それが突如、高市さん自ら“検討を加速する”とあいまいな言い方ながら自民党の公約に掲げて対抗してきた。争点つぶしに過ぎないと本気度を疑う声もありましたから、有言実行できるのか。政治家として問われるのは当然です」

 果たして本気で実現するつもりはあるのだろうか。

 ジャーナリストの鈴木哲夫氏に尋ねると、

「消費減税について、高市さんは盛んに『国民会議』という言葉を使っています。減税を実現するにあたって、税と社会保障の一体改革を超党派で議論する『国民会議』を設置するとした上で、高市さんは『消費減税は国民会議での議論を通じて』と何度も言っていますが、超党派による会議が一つにまとまると思いますか。各党で消費税に対する考え方は異なり、合意形成が難しいのは目に見えています」

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