中国軍「制服組トップ」が失脚で「習近平」“台湾侵攻”と“終身支配”の野望は叶うか 7人で発足した「中央軍事委員会」は“粛清の嵐”で2人だけに
台湾侵攻への悪影響
田中氏は「そもそも今の解放軍幹部は、張氏だけでなく大半が習氏に抜擢されたメンバーです。習氏は自分が引き上げた幹部を自分で粛清しているのですから、間違いなく異常事態だと指摘できます」と言う。
「その一方で『人民解放軍が習氏の軍隊になった』と見るべきかどうかは注意が必要だと思います。そう分析したくなる気持ちは非常に理解できます。実際、習氏が解放軍に対するコントロールを強くしようと考えて次々に委員を粛清したのは事実でしょう。ただし、軍隊はピラミッド型の組織を必要とし、上下下達のトップダウンで動きます。最高幹部が次々に姿を消し、軍人ではない習氏が命令を下しても、解放軍が従うかどうかは別問題です。まして台湾侵攻という大作戦を習氏の独力で立案、実行するのは不可能です」
デイリー新潮が2025年12月に配信した、
「“暗闘”続きで揺らぐ『習近平』体制…中国が高市首相の“答弁”に異常な反発を示す理由 専門家は『“反日”で団結するために利用している』と解説」
との記事で、田中氏は張氏が管轄する第82集団軍の一部と、習近平氏を警護する特別勤務部隊(党中央弁公庁警衛局部隊)による武力衝突が昨年8月に発生した可能性を指摘した。
共産党高官3人が“突然死”
「張氏の失脚については『張氏は親しい同士と勉強会を開いていたところ、そこに公安部が強襲をかけ、張氏の身柄を拘束した』という、まるで見てきたかのような情報も飛び交っています。実際に公安部が強襲をかけたかは不明ですが、複数の情報を総合すると張氏が軟禁状態に置かれているのは事実のようです。もともと張氏は台湾侵攻には強く反対しており、そのために習氏と袂を分かち、敵対関係に陥ったと見られていました。昨年8月の武力衝突も習氏に台湾侵攻を思いとどまらせるための一種の示威行為と考えるべきですが、これに習氏が逆襲を企てたと考えられます」(同・田中氏)
習氏の“粛清”は軍部だけがターゲットではないという説もある。田中氏によると、2022年10月に開催された中国共産党第20回全国代表大会の後、共産党の高官が少なくとも3人“突然死”した疑いがあるという。
「高官3人はあまりにも突然に亡くなったので、“不審死”と踏み込んだ表現をする中国ウォッチャーもいるほどです。本当に急死したのか、死因に疑問を持たれて当然の状況だったのか、中国当局は厳しい情報統制を敷いているので正確な分析は困難です。ただし、習氏が台湾統一と終身制に強い執念を燃やしているのは紛れもない事実です。習氏の極めて強権的な姿勢によって『習氏にとっての邪魔者が排除された』との情報が乱れ飛んでいるのでしょう。習氏の悲願は“二つの中国を統一した”という歴史的業績(レガシー)を打ち立て、生涯にわたり最高権力者の座にとどまることです。そして張氏のように台湾侵攻に反対する解放軍の幹部は少なくないことを考えると、なぜ次々と中央軍事委員会の委員が“失脚”していったのか、浮かび上がるものがあるはずです」(同・田中氏)
[2/3ページ]



