いまだに絶えない「エウリアン」による被害…高額な商品を売りつける“絵画商法”を撲滅できない“絵画ならではの理由”

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投機目的なら、オタク系の版画は今が狙い目?

 アニメ・ゲーム系の版画は、2000年代に購入されたものがかなり市場に出ている。フリマサイトやネットオークションでの売買が盛んで、ほとんどの作品が数万円という投げ売り価格で取り引きされている。これをチャンスと捉え、投機目的で購入し始めている人もいるのだ。実際に10点ほど購入したというコレクターがこう話す。

「海外では日本の漫画家の原画やアニメのセル画が高値で取り引きされ始めていますが、そうした影響を受けて、版画も値上がりする可能性は十分にあると思います。確かに、元の値段の30万円だったら高いと思うかもしれませんが、1~2万円台であれば相当お買い得。そんな版画がネットにはごろごろあります。少なくともサインは直筆ですし、実物を見ると決してモノは悪くないため、草間彌生の版画みたいに高騰する可能性もあります。

 いわゆる美少女ゲームは、2010年代にブームが過ぎ去りました。ところが、最近になって再評価がなされているのか、以前はワゴンで投げ売りされていたソフトにプレミアがつきだしています。2000年代に美少女ゲームに関わったイラストレーターや原画家は高い画力を持った作家が多いため、今後、再評価がなされると思います」

 こうした版画を「若気の至りで騙されて買った」と言って、既に手放した人が筆者の周りにもいる。その一方で、このコレクターのように好機と考えて買いに走る人もいるのだ。10年後、価値がどうなっているのかは筆者にはわからないが、もし高騰していたら、「あの時、手放さなければよかった」と嘆く声が聞かれるかもしれない。

投機目的でも気に入った絵を買うべき

 筆者は取材で富裕層の家に赴くことがあるが、絵が廊下や部屋に無造作に放置されているのをたびたび見かける。聞けば、「外商に懇願されたので仕方なく買った」「値上がりすると言われたので投資目的で買った」といい、肝心の絵については「まったく興味がないし、どうでもいい」とのことである。

 実際、購入されたはいいものの、押し入れや倉庫にしまい込まれたりして一度も目に触れられていない絵も少なくない。筆者は、アーティストのそういった絵が公開されれば、鑑賞の機会が生まれ、若手の人材育成の面でもどんなにいいことかと思うのだが、一部の大コレクターを除けば、日本ではコレクションを公開する人はまだまだ少数派のようだ。

 投機目的で絵を買うことの是非はさておき、結局のところ、絵で失敗しない大原則は心の底から気に入った絵を買うことであろう。気に入った絵でなければ飾ることもなく、押し入れにしまい込んで劣化させかねないし、もし価値が下がったら「騙された」「損をした」「業者が悪徳だ」と負の感情が生まれかねない。これでは絵も気の毒であろう。

 絵に関しては、他人の価値観に頼るのではなく、自分の目を信じて買うのがベストだと思われる。そうすれば、万が一価値が大幅に下がっていても「楽しんだのだから問題ない」とプラスに思えるのではないだろうか。

ライター・山内貴範

デイリー新潮編集部

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